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2015年4月 5日 (日)

イリーナ・クリコヴァ・ギターリサイタル(その1)

3月30日(月)NHKFMベスト・オブ・クラシックで「イリーナ・クリコヴァ・ギターリサイタル」がオン・エアされた。
'13年9月20日に武蔵野市民文化会館小ホールでの演奏。
約1年半を経ての放送とは異例だが、「ベスト・オブ・クラシック・セレクション」とあったので、今回は再放送の可能性が高い。
プログラムは以下の通り。

1アルベニス「アストリアス」
2J.S.バッハ~自編「無伴奏チェロ組曲第1番」
3ソル「幻想曲第7番」op.30
4コンスタンチン・バシリエフ「3つの森の絵」

・樫の老木
・春を告げる花
・森の精霊の踊り
5コンスタンチン・バシリエフ「3つの抒情的作品」

・エレジー ~ラフマニノフの思い出に
・回想   ~A.バリオスの思い出に
・モジアナ ~V=ロボスの思い出に
6セルゲイ・ルドネフ「古い菩提樹」
7ターレガ「アランブラの想い出」
Enc
1ホセ・マリア・ガジャルド・デル・レイ「前奏曲」~カリフォルニア組曲
2コズロフ「美しいエレナのためのバラード」
CDから
テデスコ「ソナタ~ボッケリーニ賛」op.77から第1楽章

という堂々としたもの。
演奏も同じで、女性であるが、音楽の造形が雄大で、力強い音、男性的で、技術もしっかり、安定している。
ロシア出身で、母親はチェリストとのこと。
おそらく20~30代の若いギタリストと推察する。

NHKFMもしくはTVでギターが取り上げらるのは稀で、殊に'00年以降その傾向が増しているようだ。
女流では'11年5月16日オン・エアされたパク・キュヒ。'11年2月10日のこれも武蔵野市民文化会館小ホールでの演奏である。
クリコヴァを剛とすれば、こちらは柔。確かなテクニックであることは同じだが、極めて柔軟なしなやかな演奏だ。

'13年1月7日オン・エアのアナ・ビドヴィチ。これはザグレブ・ソロイスツのコンサートへの客演でVivaldiのコンチェルトRv93二長調、425ハ長調(共にギター編曲版ではポピュラーな作品)を演奏している。ソリストのアンコール演奏で「アストリアス」、「アランブラの想い出」とクリコヴァと同じ曲を弾いた。
この時のベスト・オブ・クラシックは7~10日と連続で世界の新進ギタリストのコンサートを特集した画期的なものだった。

直近では'14年9月26日オン・エアのペぺ・ロメロ。'14年5月18日浜離宮朝日ホールでの演奏。
ぺぺのベスト・オブ・クラシックは'00年6月7日オン・エアの'99年12月10日東京オペラシティ武満メモリアルHの録音も持っている。
15年の時間の隔たりは決して短いものではないし、70代に入っていることを考えると演奏の充実ぶりに驚かされる。

特筆しておかなければならないのは、このペぺの2つの来日演奏にはソルの作品番号なしの「幻想曲」が弾かれていることだ。
福田進一のCD「ソル作品集2」の濱田滋郎氏の解説によれば従来ソルの「幻想曲」は7番までだったところ、20世紀も終盤に手稿譜が発見され、ペぺ・ロメロにより楽譜は校訂、出版され、初録音もされた由。
いわばぺぺにとり、貴重な作品となるわけだが、CDの福田の演奏と聴き比べてしまうとぺぺがいかにも冗長、緩慢に聴こえてしまう。
また、FMでは共に「二短調」とあるが、福田のCDでは「ニ長調」。
序奏は二短調だが核である主題と変奏、ロンドはニ長調なので「ニ長調」とすべきだろう。
「現代ギター」NO.421('00年2月号)グラビア・トップがペぺのコンサートでプログラムが紹介されているが、これも「二短調」。恐らくは当日のパンフレットに従ったものだろう。
因みにGG誌によれば、この時がぺぺの日本初ソロリサイタルだ。

以上のコンサートでは、興味深いことに、すべて「アランブラの想い出」が演奏されている。
甲乙付けがたく、逆に言えば際立った演奏はない。
それだけこの曲の完成された演奏が如何に難しいかの証明と云えよう。

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