« 2015年9月 | トップページ | 2015年11月 »

2015年10月

2015年10月14日 (水)

藤田美術館展

旧聞となってしまったが、どうしても記しておきたいので書いている。

シルバーウイーク明けの9月24日午後、サントリー美術館の「藤田美術館の至宝 国宝曜変天目茶碗と日本の美」展へ行って来た。
9月27日までの会期で、閉幕の3日前だった。

サントリー美術館は、ミッドタウン移転後2度目で、前回は’07年11月に国立新美術館へフェルメール「牛乳を注ぐ女」を見てからこちらで「鳥獣戯画」展を見た。
東博の様な悲惨な目に逢わずに、しっかり絵巻を鑑賞出来た。

今回感じたのは、展示スペースはやや少ないかもしれないが、鑑賞しやすい空間であること。止むを得ない事かも知れないが、やや照明が暗く感じた。
いずれにしてもサントリー美術館には好感が持てると思った。

今回の展示は展示替リストによれば全132作品で、国宝9点、重要文化財多数で第1級の展示だ。
ただ前後期で入れ替わる作品と福岡展のみの出品作品もあって、リストにある作品すべてを目にしたわけではない。

国宝は7点を見ることができたが、その代わり重要文化財の方は後期は半分以下しか目にすることが出来なかった。
目玉はタイトルにもある曜変天目茶碗で4階の第1展示室を経て、3階に至り、吹き抜けの第2展示室からようやく第3展示室に辿り着くといきなり曜変天目茶碗に遭遇する。

1img_5035

これが、中々印象的で記憶に深く焼き付けられた。

ただ、私が今回最も心に残ったのは地蔵菩薩立像だ。(快慶作。作品番号10.重要文化財)第1展示室に入ってすぐこの像に対面する。

1img_5032

着衣の彩色が鮮やかさを保持していて保存状態の良さを感じさせ、装身具や手に持っている錫杖と珠、光背に至るまで精密に造られていて、引き締まった中にも温かみのある表情と相俟って、神々しいばかりだ。

大般若経(「だいはんにゃきょう」。作品番号1。奈良時代。国宝)、紫紙金字華厳経(「ししきんじけごんきょう」。作品番号3。奈良時代。重要文化財)、法華経勧発品(「ほけきょうかんぽつほん」。作品番号5。鎌倉時代。重要文化財)と経文は3巻を目にした。
判読は叶わないが、見ているだけで心が浄化され、気持ちが静まってくる。

それと「春日厨子」。(作品番号25.室町時代。)金の装飾留め金が随処に付けられた黒漆の厨子には背中に鏡を乗せた神鹿が置かれ、厨子内部背面に奈良春日山、両脇は神官、天井に竜が描かれている。神鹿が愛らしく、愛おしむべき逸品。

また「仏功徳蒔絵経箱」。(作品番号27.平安時代。国宝)金、銀粉を蒔いて側面を飾る絵は法華経のエピソードから採られているそうで、全体的にユーモラスで温か味を感じる。

藤田美術館へは実は3年前に行った事がある。平成24年11月9日で「藤田傳三郎の想い」という企画展を鑑賞した。
傳三郎は茶人だっただけに、見事な茶道具の数々が印象に残っているが、今回も展示されていた「深窓秘抄」等の歌集断簡、「紫式部日記絵詞」、そして「曜変天目」と、それ自体が骨董品のような蔵を展示場にしていて記憶に残っており、それが東京で見られるというので足を運んだ次第である。

また、この時は正倉院展を前日に観て、同じ9日には東洋陶磁美術館へも行き、開館30周年の企画展で「油滴天目茶碗」(国宝)も観て来たのだった。

サントリー美術館の今回の展覧会は、藤田美術館が惜しみなく所蔵品を提供し、名品の数々を理想的な空間で鑑賞できる得難い企画だったと思う。

1img_5037
上は図録

« 2015年9月 | トップページ | 2015年11月 »