« 元旦の富士 | トップページ | ウイーン・フィル・ニューイヤーコンサート2,016 -番外編その1 »

2016年1月10日 (日)

ウイーン・フィル・ニューイヤーコンサート2,016

早や元旦から1週間が経ち、七草も過ぎたが、ウイーン・フィル・ニューイヤーコンサートを振り返りたい。
今年は5年振りに自宅のTVで中継を見た。
ブログに記すのは3回目になるが、回を重ねる毎にこのコンサートの奥深さを思い知らされている。
先ず第一に指揮者の顔ぶれ。各時代毎に名だたる指揮者は数多いが、ニューイヤーコンサートを振るのは特定の限られた指揮者である。そして近年の傾向を見ると小澤のように1回きりという指揮者もいるが大概は何年かを隔てて何度か指揮台に立っている人が多い。
次にプログラミング。ヨハン・シュトラウス一家のウインナ・ワルツがメインという鉄則はあるが、その年々に因む作品、作曲家、またニューイヤーコンサート初登場の作品の選定等、毎回選曲の妙を味わえる。ウインナ・ワルツが演奏されることはニューイヤーコンサート以外では稀で、作品も舞踏会用に作られた舞曲ではあるが、聴くほどに味わい深さを感じている。

今年の指揮者はマリス・ヤンソンス。'06、'12年に次いで3度目。
ヤンソンスはかつて生で聴いたことがある。1,989年9月29日千葉県文化会館大ホールでのレニングラードフィル来日公演だ。(当時のチラシには「Leningrad State Philharmonic Academy Symphony Orchestra named after Dm.Shostakovich」とある。)
マリス・ヤンソンスを聴いたという記憶のみが今日残っていて、またヤンソンスはソヴィエトの指揮者だとの認識が最近まで自分の中にあって、彼が西側で活躍して来ている人だとわかった時は面喰ったものである。
この演奏会から約1カ月強あとにベルリンの壁が崩壊、また2年後にはソヴィエト連邦が崩壊している。
まだソヴィエト連邦の時代の来日だったことを今思うと感慨深い。この時のプログラムは、R.コルサコフ「シェエラザード」、ベートーヴェン「交響曲7番」だった。

それと'05年11月26日のNHK音楽祭へバイエルン放送交響楽団を率いて来日した際のプロコフィエフの「バイオリン協奏曲第1番ニ長調」のみ録画したDVDが手元にある。約1カ月強後に初のニューイヤーコンサートの指揮が予定されている時だ。ソリストは五嶋みどり。
再生してみたが、3楽章最後の部分、ソロの指板がアップになり、E線上を1,2,3指(とバイオリンも左手を言うのか?)を乗せた状態で小指でトリルを掛けているのが目に留まった。いとも易々と小指が動いていたが、テーブルでこれを真似してみたが全然速く動かない。1指固定で2ならば容易だが、1,2固定で3でもかなり難しい。
変な処で感心してしまった。
この時の 他のプログラムは、ワグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲とやはりベートーヴェン「交響曲7番」だった。

さてプログラムである。
☆初登場
◎趣向
△バレエ映像挿入

第1部
1.ローベルト・シュトルツ/「国連行進曲」op.1,275☆ '16年が国連70周年となるので、ヤンソンスが希望。
2.ヨハン・シュトラウス/「宝のワルツ」op.418 オペレッタ「ジプシー男爵」のモチーフを使用。宝物を発見する物語。
会場のウイーン楽友協会黄金のホールの色鮮やかな天井画、見事なシャンデリア、バルコニーを支える黄金のビーナス像、随処に飾り付けられた豪華な花々・・・
今年もニューイヤーコンサートを見ることが出来る幸せを噛みしめる。
3.ヨハン・シュトラウス/ポルカ・フランセーズ「ヴィオレッタ」op.404☆ オペレッタ「愉快な戦争」の侯爵夫人の名。イタリアの2つの小国間の戦争の物語。
4.ヨハン・シュトラウス/ポルカ・シュネル「観光列車」op.281◎ ヤンソンスが汽笛を模してラッパを鳴らす。
5.カール・ミヒャエル・ツィーラー/ワルツ「ウィーン娘」op.388☆◎ ツィーラーはシュトラウス一家の盟友であると共にライバル。本作はツィーラーの代表作。
中間部でハープに合わせ団員の口笛でメロディーが流れて、とてもお洒落だった。 
6.エドゥアルト・シュトラウス/ポルカ・シュネル「速達郵便で」作品259◎ 郵便配達夫がExtra Postと書かれた箱を届け、中に入っていた棒をタクト代りに指揮。
今年は末弟エドゥアルトの没後100年にあたる。

休憩の間に昨年コンサートマスターで引退したライナー・キュッヒルが過去のニューイヤーコンサートの指揮者を回想していた。曰く'72年からボスコフスキーの指揮を経験出来、幸運だったとか、ポルカ・マズルカはマゼールの右に出る者はいないとか、カラヤンの指揮は美しく、わずかな動きで意図を明確に伝えて来るとか、貴重なこぼれ話を聞かせてくれた。
また、'02年に登場した小澤の年にニューイヤーコンサートデビューを果たしたヴァイオリンパートのヴィルフリート和樹ヘーデンボルグ(日本人ハーフ)の紹介とインタビューも興味深かった。

第2部(現地12時15分~。日本20時15分~。)
1.ヨハン・シュトラウス/喜歌劇「ヴェネツィアの一夜」から序曲
2.エドゥアルト・シュトラウス/ポルカ「羽目をはずして」op.168☆△
3.ヨーゼフ・シュトラウス/ワルツ「天体の音楽」op.235
本作はバレンボイム('09)、ヴェルザーメスト('13)も取り上げた。
4.ヨハン・シュトラウス/ポルカ・フランセーズ「歌い手の喜び」op.328☆
ウイーン男声合唱協会創立25周年を記念して作曲された。ヤンソンスの希望でウイーン少年合唱団が登場。
5.ヨーゼフ・シュトラウス/ポルカ・シュネル「休暇旅行で」op.133 引き続きウイーン少年合唱団が登場。
6.ヨハン・シュトラウス/喜歌劇「ニネッタ侯爵夫人」から第3幕への間奏曲☆
7.エミール・ワルトトイフェル/ワルツ「スペイン」op.236☆
フランスのヨハン・シュトラウスと言われている作曲家。「スケーターズ・ワルツ」が有名。本作は友人だったシャブリエ「スペイン狂詩曲」をワルツに仕立て直した。  
8.ヨーゼフ・ヘルメスベルガー父/ワルツ「舞踏会の情景」☆
無窮動なパッセージで終始し、中間部はゆったりしたワルツ。

9.ヨハン・シュトラウス父/ギャロップ「ため息」op.9◎ 1,820年代にウイーンで大流行した急速な踊り。
10.ヨーゼフ・シュトラウス/ポルカ・マズルカ「とんぼ」op.204◎ 映像上の趣向(花へとんぼのブローチ)
ポーランド起源のマズルカのリズムとポルカのステップを併せ持つ。
11.ヨハン・シュトラウス/皇帝円舞曲op.437△
ヨハンとしては珍しく献呈者がいない作品。皇帝が誰か明示されていない。
シェーンブルン宮殿で男女5組のペアのバレエ
12.ヨハン・シュトラウス/ポルカ・シュネル「狩り」op.373
初演の指揮者が没後100年の末弟エドゥアルトだった作品で本プロを締めくくる。
袖から金髪の美女が花束を持って登場、ヤンソンスへ。それをヴァイオリン次席のアルべナ・ダナイローヴァへ。
<アンコール>
1.ヨハン・シュトラウス/ポルカ・シュネル「突進」op.348
ヨハン45歳の初のオペレッタ「インディゴと40人の盗賊」のモチーフを元にしている。

ここで恒例のウイーン・フィルから新年の挨拶。
2.ヨハン・シュトラウス/ワルツ「美しく青きドナウ」op.314
戦いに苦しむ祖国のために作曲された。
ドナウ周辺域の美しい映像が流れる。
3.ヨハン・シュトラウス父/ラデツキー行進曲op.228◎
ラデツキーはオーストリアの名将軍。1,848年に作曲された。
ヤンソンスは途中演奏をコンサートマスターへ任せ、袖に引っ込んでしまう。
そして満場の拍手に乗って今年のニューイヤーコンサートも幕を閉じた。

« 元旦の富士 | トップページ | ウイーン・フィル・ニューイヤーコンサート2,016 -番外編その1 »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ウイーン・フィル・ニューイヤーコンサート2,016:

« 元旦の富士 | トップページ | ウイーン・フィル・ニューイヤーコンサート2,016 -番外編その1 »