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2016年1月

2016年1月22日 (金)

東京散歩1-日本橋室町~八重洲

「三井家伝世の至宝」展の会場である三井記念美術館のある三井本館は今回が初めて。
日本橋三越へは来た事があると思うが、よく覚えておらず日本橋そのものに縁がないまま今日まで齢を重ねてしまった。

地下鉄銀座線が最寄で、三越前駅がある。あと半蔵門線も近い。
内房線直通で乗り換えしないで済む総武線快速の新日本橋で下り、中央通り下の地下通路を歩くと程なく三井タワーに行き着いた。
丁度お昼時で地下のお店は食事客でいっぱい。
「サルヴァトーレ・クオモ&バール」という店で日替わりパスタの大盛りを食べた。

エスカレータで1階へ上がり、ロビー左隅にある美術館専用エレベータで7階へ。展覧会については前回ブログで書いたとおり。

展覧会を見終え、三井ビルを出て東京駅を目指す。本館と三越が挟む通りへ折れる。本館も三越も歴史を感じる重厚な建物だ。
しばらく歩くと右に日銀、左は三菱東京UFJ銀行が現われる。
やがて外堀通りへぶつかり、目の上には首都高都心環状線がここで大きくカーブしている。日本橋川の上を走っていて、川に架かるのは歩いて来た通りの正面が常盤橋、外堀通りの八重洲へ続く側が一石橋だ。
一石橋を渡り、外堀通りを東京駅方面へ歩いて行くと丸の内トラストタワーにさしかかる。シャングリ・ラ・ホテル東京があるビルだ。外堀通りの右側は東京駅の八重洲側なのに地名は丸の内で、左が八重洲だ。ともに1丁目。
隣がグラン東京ノースタワー。大丸が入っているビルだ。ここまで来れば東京駅の域内と言っていいだろう。

東京駅南口近く駅ビル内のマクドナルドでコーヒー(M)を飲む。これが色の付いたお湯みたいでコーヒーを飲んでいる感じが全然ない。プレミアム・ローストとして売り出した当初は結構おいしかったが、この時は味もそっけもない感じだった。Sにしなかったことを後悔。
壁に向かって幅の狭いカウンターに座り心地の良くない自転車のサドルを固くしたような椅子。周りはパソコンの画面を見つめたり、周りの迷惑も顧みず大きな声で英語で電話をする者等、おおむね若い人ばかり。
しばらくコーヒーを飲むことに専念してから持参の新潮文庫の漱石「門」を開いた。第2章の休日に一人駿河台下へ出て街の店を覗く宗助のくだり。

「門」を読んでいる内、予定していなかったがここまで来たのでということで八重洲ブックセンターへ行った。
時間がないのでエスカレータで2階へ上がった処で1階へ戻り、奥から入口方面へ見て行くと谷崎潤一郎のコーナーがあり、作家論、作品論等種々置いてある中にあったKAWADE夢ムック谷崎潤一郎」をGET。ちょうど谷崎のガイドブックが欲しかったところだった。
壁際のパンフレット類を置いてあるキャビネットにあった「図書」1月号を貰った。いずれ劣らぬ錚々たる執筆者の中に池内紀氏の「「椋鳥」の秘密」という一文がある。暮れのNHKFM「日曜喫茶室」でも話題になっていた岩波文庫の池内紀編注「鴎外椋鳥通信」全3分冊の紹介文だ。
短時間の中の幸福な出会いで、やはり来て正解だった。

それからまた大丸まで戻り、デパ地下で惣菜(RF/1)をGET。この日歩いた中では大丸地下が最も人が多かった。文字通り立錐の余地がない。
そして中央口から京葉線ホームまで行く。
途中動く歩道があるとはいえ、結構距離がある。この日は随分歩いた。

地下1階になるのか(?)、京葉線の最上階フロアにある成城石井で車内用にサンドイッチと缶コーヒーを買おうとしたが、レジ前に行列が出来ていて時間が切迫していたので今回は発着ホームの「NEW DAYS」にして、ぎりぎり発車に間に合った。17時30分発の特急さざなみである。
東京へ出た際の帰りは特急を利用するのが最近のささやかな楽しみになっている。1時間で木更津へ着いてしまうのも魅力で、葛西臨海公園の大観覧車、水族館のドームや東京ディズニーランド等の夜景を見ながらサンドイッチをぱくつくのもいい。2人掛けのシートだがまず間違いなく占有でき、普通電車と違い気ままにリラックスできるのがよい。(了)

2016年1月18日 (月)

「三井家伝世の至宝」展

15日(金)に「三井家伝世の至宝」展へ行って来た。
今回の展覧会は文庫開設50周年、美術館開設10周年を記念する特別展Ⅱである。
三井記念美術館は今度が初めて。
油滴天目茶碗が展示されているので、一目見ておきたいと思い足を運んだ。

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旧三井所蔵品を引継ぎ運営されているが、現在は外部へ流出した作品も取り寄せ一堂に会し、油滴天目もその一つ。
現在は大阪東洋陶磁美術館の所蔵。
以前のブログに書いたが(参照1:'15.10/14Blog)、平成24年の東洋陶磁美術館開館30周年記念企画展で見て、世上曜変天目の評価の方が高いが、藤田美術館のそれを見たばかりで目にした時は、この油滴天目の整然とした美しさの方へ心を奪われたのだった。
そこで、東京で見ることが出来るというので行った次第。

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東洋陶磁美術館「東洋陶磁の展開」('94年改訂版)の解説には歴代の所有者が記されており、関白(豊臣)秀次、西本願寺、三井家、若狭酒井家と伝来して来たとある。その後安宅コレクションに入り、現在は東洋陶磁美術館の所蔵となっている。
今回の解説では、「伊皿子三井家」とあった。また三井家で朱塗菊花形天目台、酒井家で若狭台2つが加えられた、とあった。

会場は、展示室2へ油滴天目茶碗1点を展示するという特別待遇。しかも展示室1で様々な銘碗の数々をこれでもかという位見せつけられた直後である。
そして、待遇を裏切らない別格の気品を備えていた。
東洋陶磁美術館の展示室は明るかった記憶があるが、今回の展示では部屋は薄暗く、スポットライトで照らしていたので、茶碗の内面で光の反射が宝石の粒のようで、ややミステリアスな印象。やはり素晴らしく、見に来てよかったと思った。

展示室3では「如庵」という茶室を再現した空間が趣向。茶室自体が国宝で、一時移築により三井北家にあった由。
展示室4の「東福門院入内図屏風」。徳川2代将軍秀忠の娘和子が後水尾天皇へ嫁ぐ際の行列が描かれている。元和6年(1,620)女御として入内し、後水尾天皇が上皇になり東福門院を号した由。(参照2:'15.12/22Blog
「妙法蓮華経 巻第七」(敦煌経)。唐代の写経というから、正倉院聖語蔵(しょうごぞう)の経巻中「唐経」と称されるものに該当するものと思われる。とすれば国宝級なのではないかと思うが、無指定である。

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それと、王義之をはじめ、唐代四大家から欧陽詢、虞世南の拓本。

展示室6は三井高陽(たかはる)の切手コレクションから。
切手には多少関心があるので大変興味深く見た。エラー切手等の稀少なものの数々の収集と、質的価値はさることながら、価格換算した経済的価値は膨大なものなのだろうなとさもしい事も考えてしまった。また研究の深さに舌を巻いた。

最後の展示室7は全点国宝と重文の作品。長方形の入口から見て右は能面。向かいの左が刀剣で、一番奥の壁に国宝「雪松図屏風」(円山応挙)である。

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右隻の雄松
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左隻の雌松

大変晴れやかな画面で、金泥に金砂子の背景に墨で松が描かれ、積もる雪の白は絵具ではなく紙そのものの色とのこと。
応挙は徹底した写生により対象を把握し、高い技術を駆使して作品を生み出していった。これまで応挙には親しんでこなかったが、今回応挙の素晴らしさに目覚めたのも収穫の一つとなった。

2016年1月16日 (土)

ウイーン・フィル・ニューイヤーコンサート2,016 -番外編その2

ウイーン・フィル・ニューイヤーコンサートの余韻が冷めやらぬ7日、地元の君津市民文化ホールで「華麗なるウインナーワルツの祭典」と題したコンサートへ行って来た。
宝くじの収益による助成で料金は2千円と破格の安さ!

プログラムは以下のとおり。
第Ⅰ部
1.ヨハン・シュトラウス/ウイーンの森の物語
2.    〃     /シャンペン・ポルカ
3.    〃     /アンネン・ポルカ
4.    〃     /トリッチ・トラッチ・ポルカ(バレエ)
5.    〃     /ワルツ「春の声」
6.    〃     /常動曲
7.    〃     /チク・タク・ポルカ
第Ⅱ部
1.ヨハン・シュトラウス/喜歌劇「こうもり」序曲
2.    〃     /シンデレラ(バレエ)
3.    〃     /芸術家のカドリーユ
4.ヨーゼフ・シュトラウス/ポルカ「おしゃべりな可愛い口」
5.ヨハン・シュトラウス/ポルカ・フランセーズ「クラップフェンの森で」
6.    〃     /ポルカ・シュネル「観光列車」(バレエ)
7.    〃     /雷鳴と稲妻
<アンコール>
1.ヨーゼフ・シュトラウス/ポルカ・シュネル「憂いもなく」
2.ヨハン・シュトラウス/ワルツ「美しく青きドナウ」(バレエ)
3.ヨハン・シュトラウス父/ラデツキー行進曲

指揮:アンドレイ・アニハーノフ(ロストフ国立音楽劇場首席指揮者)
管弦楽:東京オーケストラMIRAI
バレエ:アナスタシア・ロマチェンコワ、アントン・プローム(ミハイロフスキー劇場バレエ(旧レニングラード国立バレエ))

コンサートは楽しく、演奏も良く、素晴らしかった。
プログラムは本プロとアンコールに1曲ずつヨーゼフ・シュトラウス、そして最後の「ラデツキー」が入った以外はすべてヨハン・シュトラウスだった。
また第Ⅰ部に1回、第Ⅱ部に2回、アンコールでも1回バレエが入って、華やかさを盛り立てた。

指揮のアンドレイ・アニハーノフはロシア人だが、その指揮ぶりはウインナーワルツの精神をよく伝えていたと思う。シャンペン・ポルカやチク・タク・ポルカ、ポルカ「おしゃべりな可愛い口」等で楽しい趣向を凝らし、幅のある人間性を見せてくれ、会場を大いに沸かせた。また、一方で大変礼儀正しく、曲ごとの会場の拍手への返礼が深々と頭を下げる様子が誠実な人柄であることを物語っていて好感が持てた。

ウインナーワルツのレパートリーはあまりよく知らないが、今回のプログラムはウイーン・フィル・ニューイヤーコンサートとわかる範囲で比較してみると、「春の声」、「芸術家のカドリーユ」、「クラップフェンの森で」、「憂いもなく」が、'06年のヤンソンスと(「憂いもなく」は一昨年のバレンボイムとも)、「観光列車」が今年、それと「アンネン・ポルカ」、「常動曲」は昨年のメータと一致している。
またアンコールが3曲というのも、そして第2,3曲目が「美しく青きドナウ」、「ラデツキー行進曲」なのもニューイヤーコンサートと同じだ。

「ラデツキー」では、自然に会場から拍手が出て、気分はウイーン楽友協会ホールのニューイヤーコンサートさながらだった。

東京オーケストラMIRAIは知らなかった。ALL日本人で、若い人ばかり。パンフレットの紹介記事によると昨'15年春に誕生とある。
指揮のアニハーノフとの息はぴったりという感じだった。
アニハーノフとバレエの2人がロシアからの出稼ぎで、管弦楽は現地調達という図式になるわけで、その組み合わせはちょっと異様な感がある。

とまれ、今年はニューイヤーコンサートをたっぷり3倍楽しむことが出来た。

2016年1月13日 (水)

ウイーン・フィル・ニューイヤーコンサート2,016 -番外編その1

マリス・ヤンソンスの過去2回のニューイヤーコンサートの指揮ぶりがどうだったか興味を覚えたので録画タイトルをチェックしてみた。すると'06年のDVDがあった。
そこで今年との比較をするのも一興と思いつつ視聴した。
当時はアナログ放送を視聴していて、画像の精細度はだいぶ落ちるが、それは正直あまり気にならなかった。

これを見たのは3日で今年の放送のほぼ直後だったが、'06年の方へ軍配を上げたいというのがその時の正直な感想だった。

また今年と10年の隔たりがあるので、見ていて面白い発見が幾つかあった。
まずなんと言ってもマリス・ヤンソンスの年齢。当時62歳だった。
ウイーン・フィルのメンバーは、当時の人が結構現メンバーに残っている。
この時のコンサートマスターはライナー・キュッヒルだった。
またハーピストは今年と同じ女性だった。
それと、先のブログへ書いたヴァイオリン奏者の顔も見られた。この頃はまだ初々しさが感じられる。

オーケストラのサウンドだが、'06年の方が馬力があるように感じた。特にコントラバスのパワーがすごい。
カメラワークであるが、現在の方が格段に向上している。指揮者、オーケストラ、会場等へのアプローチが多彩なアングルからされていて、またカメラを移動させながら撮ったり今年の画面は躍動感に満ちていた。

ニューイヤーコンサートの聴衆の中からは有名人に行き当たることが多いが、この年も画面からは本当に当人か否かは自信がないが、ドイツのメルケル首相が鮮やかな青いドレス姿で、また黒人女性から語りかけられてうなずく男性はパーヴォ・ヤルヴィそっくり。10年前すでに彼は禿げあがっていたかどうかわからないが・・・

それとNHKのスタジオの陣容は司会が森田美由紀、ゲストは黒田恭一、川井郁子、そして竹下景子。
黒田恭一は今は故人で、なつかしかった。TVで顔を見るまで、長い間FMで声に親しんできた人だ。
時々だったがNHKFM日曜朝の「20世紀の名演奏」という番組を聴き、番組の最後に魅力的な声で「皆様にとりまして素敵な日曜日になりますように」という言葉が出ると何とも言えず幸せな気分になるのだった。

'06年はモーツァルト生誕250年にあたり、プログラムへ反映されている。
以下にプログラムを記す。

第Ⅰ部
1.ヨハン・シュトラウス/行進曲「狙いを付けろ」
2.    〃     /ワルツ「春の声」
1,883年ハンガリー滞在中の晩餐会でリストと同席し、余興でピアノ連弾をして半ば即興的に生れた作品。
3.    〃     /ポルカ・フランセーズ「外交官」
1,893年初演の喜歌劇「ニネッタ侯爵夫人」から
4.ヨーゼフ・シュトラウス/ポルカ・シュネル「ことづて」
5.ヨハン・シュトラウス/ポルカ・マズルカ「女性讃美」
6.    〃     /ワルツ「芸術家の生活」
ヨハン屈指の傑作。
7.ヨーゼフ・シュトラウス/ポルカ・シュネル「憂いもなく」
第Ⅱ部
1.ヨハン・シュトラウス/喜歌劇「ジプシー男爵」から入場行進曲」
2.モーツァルト/「フィガロの結婚」序曲
3.ヨーゼフ・ランナー/ワルツ「モーツァルト党」(Die Mozartisten)
「ドン・ジョバンニ」、「魔笛」から引用
4.ヨハン・シュトラウス/ギャロップ「愛の便り」 本作のみ初登場とのテロップが出た。
バレエ「シンデレラ」から
5.    〃     /新ピチカート・ポルカ
「ニネッタ侯爵夫人」間奏曲。アン・デア・ウイーン劇場でのバレエを挿入。
6.    〃     /芸術家のカドリーユ
カドリーユ(仏の舞曲)は、有名曲をメドレーするのが慣例。
楽しい曲。メンデルスゾーン「結婚行進曲」、モーツァルト「交響曲40番」、リスト「ラ・カンパネラ」、不詳「ヴェニスの謝肉祭」、モーツァルト「魔笛」から「鳥刺しの歌」etc
7.    〃     /スペイン行進曲
8.    〃     /ワルツ「親しい仲」(Du und du)
バレエ(エプシュタイン宮殿)。喜歌劇「こうもり」から
9.    〃     /ポルカ・フランセーズ「クラップフェンの森で」
打楽器奏者があやつる特殊な楽器(?)からかっこーや鳥の鳴き声が出て来てとてもユーモラス。
10.    〃     /狂乱のポルカ(Furioso)
11.エドゥアルト・シュトラウス/ポルカ・フランセーズ「電話」
曲の終わり際、ヤンソンスの携帯が鳴る。今年の放送でもスタジオで取り上げていた。
12.ヨハン・シュトラウス/入江のワルツ
喜歌劇「ベネチアの一夜」のアリア。
13.    〃     /ポルカ・シュネル「ハンガリー万歳」
ここでヤンソンス花束を受ける。
<アンコール>
1.    〃     /山賊のギャロップ
喜歌劇「メトゥザレム王子」から

そしてウイーン・フィルの新年の挨拶。
2.ヨハン・シュトラウス/ワルツ「美しく青きドナウ」
3.ヨハン・シュトラウス父/ラデツキー行進曲

2016年1月10日 (日)

ウイーン・フィル・ニューイヤーコンサート2,016

早や元旦から1週間が経ち、七草も過ぎたが、ウイーン・フィル・ニューイヤーコンサートを振り返りたい。
今年は5年振りに自宅のTVで中継を見た。
ブログに記すのは3回目になるが、回を重ねる毎にこのコンサートの奥深さを思い知らされている。
先ず第一に指揮者の顔ぶれ。各時代毎に名だたる指揮者は数多いが、ニューイヤーコンサートを振るのは特定の限られた指揮者である。そして近年の傾向を見ると小澤のように1回きりという指揮者もいるが大概は何年かを隔てて何度か指揮台に立っている人が多い。
次にプログラミング。ヨハン・シュトラウス一家のウインナ・ワルツがメインという鉄則はあるが、その年々に因む作品、作曲家、またニューイヤーコンサート初登場の作品の選定等、毎回選曲の妙を味わえる。ウインナ・ワルツが演奏されることはニューイヤーコンサート以外では稀で、作品も舞踏会用に作られた舞曲ではあるが、聴くほどに味わい深さを感じている。

今年の指揮者はマリス・ヤンソンス。'06、'12年に次いで3度目。
ヤンソンスはかつて生で聴いたことがある。1,989年9月29日千葉県文化会館大ホールでのレニングラードフィル来日公演だ。(当時のチラシには「Leningrad State Philharmonic Academy Symphony Orchestra named after Dm.Shostakovich」とある。)
マリス・ヤンソンスを聴いたという記憶のみが今日残っていて、またヤンソンスはソヴィエトの指揮者だとの認識が最近まで自分の中にあって、彼が西側で活躍して来ている人だとわかった時は面喰ったものである。
この演奏会から約1カ月強あとにベルリンの壁が崩壊、また2年後にはソヴィエト連邦が崩壊している。
まだソヴィエト連邦の時代の来日だったことを今思うと感慨深い。この時のプログラムは、R.コルサコフ「シェエラザード」、ベートーヴェン「交響曲7番」だった。

それと'05年11月26日のNHK音楽祭へバイエルン放送交響楽団を率いて来日した際のプロコフィエフの「バイオリン協奏曲第1番ニ長調」のみ録画したDVDが手元にある。約1カ月強後に初のニューイヤーコンサートの指揮が予定されている時だ。ソリストは五嶋みどり。
再生してみたが、3楽章最後の部分、ソロの指板がアップになり、E線上を1,2,3指(とバイオリンも左手を言うのか?)を乗せた状態で小指でトリルを掛けているのが目に留まった。いとも易々と小指が動いていたが、テーブルでこれを真似してみたが全然速く動かない。1指固定で2ならば容易だが、1,2固定で3でもかなり難しい。
変な処で感心してしまった。
この時の 他のプログラムは、ワグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲とやはりベートーヴェン「交響曲7番」だった。

さてプログラムである。
☆初登場
◎趣向
△バレエ映像挿入

第1部
1.ローベルト・シュトルツ/「国連行進曲」op.1,275☆ '16年が国連70周年となるので、ヤンソンスが希望。
2.ヨハン・シュトラウス/「宝のワルツ」op.418 オペレッタ「ジプシー男爵」のモチーフを使用。宝物を発見する物語。
会場のウイーン楽友協会黄金のホールの色鮮やかな天井画、見事なシャンデリア、バルコニーを支える黄金のビーナス像、随処に飾り付けられた豪華な花々・・・
今年もニューイヤーコンサートを見ることが出来る幸せを噛みしめる。
3.ヨハン・シュトラウス/ポルカ・フランセーズ「ヴィオレッタ」op.404☆ オペレッタ「愉快な戦争」の侯爵夫人の名。イタリアの2つの小国間の戦争の物語。
4.ヨハン・シュトラウス/ポルカ・シュネル「観光列車」op.281◎ ヤンソンスが汽笛を模してラッパを鳴らす。
5.カール・ミヒャエル・ツィーラー/ワルツ「ウィーン娘」op.388☆◎ ツィーラーはシュトラウス一家の盟友であると共にライバル。本作はツィーラーの代表作。
中間部でハープに合わせ団員の口笛でメロディーが流れて、とてもお洒落だった。 
6.エドゥアルト・シュトラウス/ポルカ・シュネル「速達郵便で」作品259◎ 郵便配達夫がExtra Postと書かれた箱を届け、中に入っていた棒をタクト代りに指揮。
今年は末弟エドゥアルトの没後100年にあたる。

休憩の間に昨年コンサートマスターで引退したライナー・キュッヒルが過去のニューイヤーコンサートの指揮者を回想していた。曰く'72年からボスコフスキーの指揮を経験出来、幸運だったとか、ポルカ・マズルカはマゼールの右に出る者はいないとか、カラヤンの指揮は美しく、わずかな動きで意図を明確に伝えて来るとか、貴重なこぼれ話を聞かせてくれた。
また、'02年に登場した小澤の年にニューイヤーコンサートデビューを果たしたヴァイオリンパートのヴィルフリート和樹ヘーデンボルグ(日本人ハーフ)の紹介とインタビューも興味深かった。

第2部(現地12時15分~。日本20時15分~。)
1.ヨハン・シュトラウス/喜歌劇「ヴェネツィアの一夜」から序曲
2.エドゥアルト・シュトラウス/ポルカ「羽目をはずして」op.168☆△
3.ヨーゼフ・シュトラウス/ワルツ「天体の音楽」op.235
本作はバレンボイム('09)、ヴェルザーメスト('13)も取り上げた。
4.ヨハン・シュトラウス/ポルカ・フランセーズ「歌い手の喜び」op.328☆
ウイーン男声合唱協会創立25周年を記念して作曲された。ヤンソンスの希望でウイーン少年合唱団が登場。
5.ヨーゼフ・シュトラウス/ポルカ・シュネル「休暇旅行で」op.133 引き続きウイーン少年合唱団が登場。
6.ヨハン・シュトラウス/喜歌劇「ニネッタ侯爵夫人」から第3幕への間奏曲☆
7.エミール・ワルトトイフェル/ワルツ「スペイン」op.236☆
フランスのヨハン・シュトラウスと言われている作曲家。「スケーターズ・ワルツ」が有名。本作は友人だったシャブリエ「スペイン狂詩曲」をワルツに仕立て直した。  
8.ヨーゼフ・ヘルメスベルガー父/ワルツ「舞踏会の情景」☆
無窮動なパッセージで終始し、中間部はゆったりしたワルツ。

9.ヨハン・シュトラウス父/ギャロップ「ため息」op.9◎ 1,820年代にウイーンで大流行した急速な踊り。
10.ヨーゼフ・シュトラウス/ポルカ・マズルカ「とんぼ」op.204◎ 映像上の趣向(花へとんぼのブローチ)
ポーランド起源のマズルカのリズムとポルカのステップを併せ持つ。
11.ヨハン・シュトラウス/皇帝円舞曲op.437△
ヨハンとしては珍しく献呈者がいない作品。皇帝が誰か明示されていない。
シェーンブルン宮殿で男女5組のペアのバレエ
12.ヨハン・シュトラウス/ポルカ・シュネル「狩り」op.373
初演の指揮者が没後100年の末弟エドゥアルトだった作品で本プロを締めくくる。
袖から金髪の美女が花束を持って登場、ヤンソンスへ。それをヴァイオリン次席のアルべナ・ダナイローヴァへ。
<アンコール>
1.ヨハン・シュトラウス/ポルカ・シュネル「突進」op.348
ヨハン45歳の初のオペレッタ「インディゴと40人の盗賊」のモチーフを元にしている。

ここで恒例のウイーン・フィルから新年の挨拶。
2.ヨハン・シュトラウス/ワルツ「美しく青きドナウ」op.314
戦いに苦しむ祖国のために作曲された。
ドナウ周辺域の美しい映像が流れる。
3.ヨハン・シュトラウス父/ラデツキー行進曲op.228◎
ラデツキーはオーストリアの名将軍。1,848年に作曲された。
ヤンソンスは途中演奏をコンサートマスターへ任せ、袖に引っ込んでしまう。
そして満場の拍手に乗って今年のニューイヤーコンサートも幕を閉じた。

2016年1月 1日 (金)

元旦の富士

新年が明けた。
快晴、風はしばしば強くなったが概ねおだやかで、静かな元旦だった。
早朝から昼頃までと、夕方には背景が夕焼けではあったが、頂上直上あたりからの厚い雲の下にくっきりとシルエットがあざやかだった。

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今朝の富士。雲ひとつない日本晴れ。

また、外出した際に内房線をオーバーパスする道路をドライブしつつ、ダイナミックな富士も見た。ここから見る富士は自宅で見るより倍くらい大きく見える。
帰宅後年賀状に目を通し、返礼の賀状を郵便局へ出しに行く途中、八剱八幡(やつるぎはちまん)神社前の道にまで溢れた初詣の長い行列にお正月であることを感じた。

午後7時からはTVで「ウイーン・フィル・ニューイヤー・コンサート」を楽しんだ。今年はマリス・ヤンソンスが振った。
'06、'12年に次いで3度目だ。来年はドゥダメルだそうだ。楽しみではあるが、ちょっとピンと来ない。

話を富士に戻して、木更津からの富士は11月から3月頃まで冬期に見える日が集中する。
昨年12月も多かった(自分で確認したのは12日)。
その中で印象的な写真を(17日のもの)。

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上空がどんよりとした雲に一面覆われた中、富士は頂上までくっきり見えているのがめずらしい。

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