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2016年2月26日 (金)

漱石「門」を読む-3

(*1)江藤淳「夏目漱石」

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角川文庫(昭和51('76)年13版)

20代の頃読んだが、よく頭に入らなかった難解な本である。これを学生時代に著したというから驚きだ。
前回書いたのは江藤ともあろう人が何故?と腑に落ちない事で、看過ごせなかったので取り上げた。
江藤淳には「決定版夏目漱石」という本もあって、私はこちらも文庫で持っているが、「夏目漱石」に折々の漱石関係の発表著作をⅢ部として追加したものだ。
それと「漱石とその時代」は外せない。Ⅰ、Ⅱ部はやはり20代に読んでいる。
「新潮」連載はフォローしていないが、Ⅲ部からは出版される度にGETして来た。
こちらも前回取り上げたが、内容に今ひとつ物足りなさを感じていた。その気持ちを代弁してくれたような気がしたのは「新潮」'99年10月号の江藤淳追悼特集に載った小堀桂一郎の「漱石とその時代」についての文章である。
Ⅲ部発表は江藤が還暦を迎える前後で、結局漱石が「明暗」を未完でこの世を去ったように江藤も「明暗」に差し掛かる直前まで書き進めた処で力尽きた。享年66歳。
Ⅲ部がⅡ部から20年後というのは江藤の思い入れの深さを物語っている。江藤を以ってしても漱石作品を掘り下げ、時代を描き切る事は難事だったのだろう。
思えば私も今年は同い年になる。

(*2)谷崎潤一郎「「門」を評す」
第2次「新思潮」創刊号(9月号)所収。
今回初めて読んだ。現在谷崎に関心があって、興味を覚えたからだが、これも彼が東京帝大在学中24歳の時の文章である。
江藤の著作同様にこの若さで深い洞察力と、豊かな人生経験を有していなければ書けない記述内容に驚きを覚えた。
中央公論社「谷崎潤一郎全集」第20巻(昭和43年)で読んだ。現在刊行中の没後50年記念の決定版全集は編年編集となっているが、こちらはジャンル別の巻構成。
評論がこの巻にまとまって納まっていて、そういう意味では重宝する。目次を見ると、昨年文庫で読んだ「現代口語文の欠点について」とか「陰翳礼讃」とかも入っている。
また「饒舌録」は昭和2年に「改造」に掲載された文芸時評だが、芥川龍之介との論争、芥川自殺後の所感等興味深い記述が多い。
いい機会なので芥川の「文芸的な、余りに文芸的な」(これも昭和2年「改造」掲載)と併せ読もうと思っている。

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「谷崎潤一郎全集」第20巻目次

(終わり)

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