« 箱根・熱海行(その4) | トップページ | 箱根・熱海行(その5・最終回) »

2016年6月 5日 (日)

福田進一のバッハチクルスの事など

ギターに関係する話題をほとんど取り上げていないのでふさわしくないブログ名になりつつあるが、ここにクラシックギターの話題を記しておきたい。

 

遅まきながらネットで福田進一のバッハチクルスの新譜が出た事を知り、早速ネット注文したのは2週間前の日曜だった。某マンモスネット通販会社としては珍しい事に注文から届くまで5日かかった。それまでほぼ1年のペースでリリースされていた福田のシリーズだったが、今回なかなか出ない事にどうしたのか心配していたが(*)、こうして第5集を手にして紙に作品リストを書き出してみたが(**)、まだ未完とはいえ福田が成し遂げつつある偉業に対し畏敬の念を禁じ得なかった。
無伴奏ヴァイオリンソナタ、パルティータ、無伴奏チェロ組曲、リュート作品それぞれの全曲プラスαという途方もないプロジェクトが、残すところヴァイオリンソナタ第1番、パルティータ第2番だけになっている。

 

なのだが、かねて私が疑問に思っていた事はパルティータ第2番の終曲であるシャコンヌを何故第1集で単独で収録したのかという事である。また今回の第5集に収録されたフーガBWV1000はソナタ第1番のフーガと同一曲である。こちらはたしかリュート用の方が数小節多く、全く同じではないので改めてソナタ第1番として別個に入れても違和感はないが、シャコンヌの取り扱いをどうするのか今に至っても疑問が氷解していない。
とまれシリーズ完結は真近である事を実感させてくれる新譜だ。

 

(*)第4集がリリースされた('14.3.25)と第5集の('16.4.25)の間にブリテン「ノクターナル」他のイギリス音楽集を('15.4.25)にリリースしていた。このアルバムも福田ならではの選曲、名演が展開された魅力的なdiscだ。ライナー・ノーツを見るとブリームが「ノクターナル」の初録音(1,967)で用いたホセ・ルビオと同タイプの楽器を入手したのが録音の動機だったそうだが、彼は同じルビオを今度の第5集でも使用している。また今回、A=415Hzと低いチューニングをしていることも興味深い。
(**)福田の偉業を実感するには作品リストを見る必要があるので、以下に記す。作品名、BWV番号、ローマ数字は作品集通番、()内リリース年月日、その次は録音日、そのまた次が使用楽器で、最後に2曲のみギリア編、ラッセル編とある以外はすべて福田自身の版。

 

・無伴奏ヴァイオリン作品
ソナタ第2番      1003 Ⅲ ('13.11.25)   Feb.1,Sept.27.'13 H.ハウザー1世('47) 
    第3番       1005 Ⅴ ('16.4.25)   Feb.3~5.'16     ホセ・ルビオ('66)
パルティータ第1番 1002 Ⅱ('12.6.25) Jan.23~25.'12     H.ハウザー1世('47)
         第3番 1006 Ⅲ                        〃
シャコンヌ     1004 Ⅰ('11.9.24)     Feb.1~3.'11       データに明記がないがジャケット写真からして桜井正樹か?

 

・無伴奏チェロ作品
組曲第1番        1007 Ⅳ('14.3.25)     Jan.20,30,31.'14   桜井正樹(2,010)
   第2番        1008 Ⅳ                          〃 
   第3番        1009 Ⅰ                          〃?
   第4番        1010 Ⅲ                        イグナシオ・フレタ・エ・イーホス('98) 
   第5番        1011 Ⅱ                       H.ハウザー1世('47) 
   第6番        1012 Ⅰ                      桜井正樹(2,010)?

 

・リュート作品
組曲第3番          995 Ⅱ(チェロ5番と同録音)             H.ハウザー1世('47)
   第1番          996 Ⅳ                                          桜井正樹(2,010)
パルティータ(組曲第2番)        997 Ⅴ                         ホセ・ルビオ('66)
プレリュード、フーガ、アレグロ 998 Ⅱ                         H.ハウザー1世('47) O.ギリア編
小プレリュード    999   Ⅴ                                          ホセ・ルビオ('66)
フーガ               1000  Ⅴ                                                  〃
組曲第4番        1006a Ⅲ(Vnパルティータ3番と同録音)  H.ハウザー1世('47)

 

・アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帖から6つの小品 Anh.114,115,124,132,122,126 Ⅳ 桜井正樹(2,010)

 

・アルバム・アンコールピース
主よ人の望みの喜びよ 147 Ⅱ                  H.ハウザー1世('47) D.ラッセル編
エア(G線上のアリア)  1068 Ⅲ                                              〃
シンフォニア         156 Ⅳ                  桜井正樹(2,010)
コラール・プレリュード「目覚めよと呼ぶ声あり」 645 Ⅴ    ホセ・ルビオ('66)
   

 

もう一つは、久し振りに現代ギターを、しかも地元でGET(6月号。NO.631)!
福田進一・平野啓一郎の対談、そしてジョン・ウィリアムズのロング・インタビューが載っていたので。

 

平野啓一郎が毎日新聞へ連載していた小説「マチネの終わりに」完結を記念し、渋谷のイヴェント・スペースでの福田との公開トークを記事にしたものだ。
平野の小説は芥川賞受賞以来関心を持ち「葬送」あたりまではフォローしていたが、「氷解」を雑誌連載はじめの数回で見切りを付けてから、彼とは離れていた。

 

旅行先のホテルの客室へ朝届けられた新聞で、たしか「マチネの終わりに」を見た事はあったが、その回ではクラシックギタリストが主人公の小説であることがわからなかった(と記憶している)。「マチネの終わりに」は福田のアドヴァイスが反映された小説とのことなので読んでみたいと思っている。GGの記事を見ると、小説中に折り込まれたギター曲(それだけではないが)、それもマニア向けの作品名が全編あまねくこれでもかという位出て来るようで、どのように小説が構成されているのか、それも好奇心を刺激される。

 

ジョン・ウィリアムズのインタビューの方も、記事の趣旨はジョンの生誕75年を記念して発売されたCDボックスセットの話題につきるが、リストが載っていてCD57枚、DVD1枚という規模だが、私はLP、CD、ヴィデオで所有していて、今回の形に換算するとCD29枚、DVD1枚分になり、ほぼ半分である。

 

また最初期のジョンの他レーベルへの録音は今回には当然ながら入っておらず、私が持っているのはLPでスペイン物(トローバ「ソナチネ」、ポンセ「主題、変奏と終曲」他)とソルのいわゆるセゴヴィア編「20のエチュード」の2枚(現物が今手元に出て来ないので自信がないが、元レーベルはウエストミンスター?)とDECCAの「Recital de Guitare Vol.2」で、デュアルテ編のバッハ「チェロ組曲1番」、ソル「魔笛」、グラナドス「ゴヤの美女」他が入ったアルバム(1,972年のフランス発売版)である。
それと2,008年リリースの「FROM A BIRD」というアルバム、これもソニークラシカルではないので今回のセットには入っていない。

 

現代ギターを置いている書店は少なく、最近までは東京駅丸の内北口の丸善とかへ行った際に目にする程度だったが、昨年地元書店の雑誌棚で目にした時はうれしかった。今回は真鍋理一郎氏の追悼記事が載った2,015年5月号(NO.617)以来の購入になる。

 

 

« 箱根・熱海行(その4) | トップページ | 箱根・熱海行(その5・最終回) »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 福田進一のバッハチクルスの事など:

« 箱根・熱海行(その4) | トップページ | 箱根・熱海行(その5・最終回) »