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2016年10月 4日 (火)

題名のない音楽会「武満徹特集」他

10月2日(日)題名のない音楽会「武満徹の魅力を語る音楽家たち」を見た。
クラシックギターの鈴木大介、ジャズ・ギター(と言ってよいのだったか?)の渡辺香津美、詩人の谷川俊太郎他が出演。
武満徹はギターを大変愛していたようで、ギターにとって貴重なレパートリーを遺したが、ここではメロディアスな作品を取り上げている。
まずは渡辺香津美(1st)、鈴木大介(2nd)で、
1.「小さな空」
子供向け連続ラジオドラマ「ガン・キング」の主題歌を渡辺、鈴木共編のギター・デュオで。
渡辺はアクースティック・ギターというのか(?)弦はスチール、左手はピック主体で低音へは親指をも使用するクラシックでない奏法だが、インプロヴィゼーションは流石な冴え。
クラシカルギターとの合わせもあまり違和感なく聴けた。

次は鈴木のソロ。
2.「ヘイ・ジュード」
云わずと知れたビートルズ・ナンバー。演奏前に鈴木が武満のアレンジの味、演奏至難な事についてコメント。
よく見るとデュオの時と楽器を替えている。その理由だが、楽譜(下参照)を見ると⑤、⑥弦が変則調弦なので、調弦を変えることで弦の音程が狂うことへの対策だと思う。とはいっても、最後の辺ではバスが狂って来ていたようだ。また若干のミスタッチも散見された。
鈴木の演奏は雑音が少ないというか、殆んどない。足台でなくギターレストを使用。

演奏中のテロップで本作の武満のアレンジの動機は「'70年代当時の日本のクラシックギター界の限られたレパートリーしかない閉塞状況を憂えた点にあって、「ギターのための12の歌」が生れた由。「「12の歌」は高度な技巧を要するが、何より柔軟な精神へのエチュードです。」(武満のコメント)
とはいえ当時の日本のギター界を振り返ると、ジュリアン・ブリーム、ジョン・ウイリアムス、オスカー・ギリアといった世界のトップギタリストが来日し、直接その演奏に接し、また渡辺範彦のパリ国際ギターコンクール優勝、荘村清志がスペイン留学から帰国し活発な演奏活動をスタートさせるなど、'70年代は新時代への移行が着実に始まっていた時代だったと思う。

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そして再び渡辺、鈴木共編のギター・デュオで、
3.「どですかでん」
'70年の黒澤明監督作品の主題曲。
パートは入れ替わり鈴木が1st。ここでも見事な渡辺のインプロヴィゼーション。
鈴木との楽器の対話もgood!

最後はカウンターテナーの藤木大地と鈴木のギターで、
4.「死んだ男の残したものは」
ゲストの谷川俊太郎の作詞。谷川自身はこの旋律をあまり好んでいないニュアンスのコメントをしていたが、聴いていて「不良少年」の旋律を連想した。

約1か月前は「らららクラシック」でも「武満徹のギター名曲集」が放送された。(9月1日(再放送))
こちらもスタジオゲストは鈴木大介。
「オーバー・ザ・レインボー」、「イエスタデイ」が演奏された。こちらでも武満の秀逸なアレンジについて加羽沢美濃がレクチャー。
また武満がギター作品を遺すこととなったそもそもの功績者である荘村清志がインタビューでその経緯について、小室等が井上陽水を交えた交友の中で、武満とビートルズについてコメントする貴重な部分もある。

八ヶ岳だか軽井沢での音楽祭の'90年前後頃のスナップショットだろう、武満を中央に右からマヌエル・バルエコ、佐藤紀雄、デイヴィッド・タネンバウム、武満、井上陽水、小室等、荘村清志という錚々たるメンバーが揃っている写真が画面に出た。その当時の「現代ギター」あたりで見たことがある気がする。当然の事ながら皆若い。

荘村のコメントの中で、荘村自身が武満夫人から武満の没後に聴いた言葉、「クラシックの枠に捕われ過ぎず、音楽へより自由にアプローチするよう」アンコールピースとして「オーバー・ザ・レインボー」が荘村へプレゼントされたというエピソードが披露された。上の「12の歌」の作曲意図の原点となった作品だ。

さて鈴木大介はここでも技巧の冴えを遺憾なく発揮、やはり雑音のない秀演を展開している。
使用楽器は「題名」のデュオで使用しているフレタ・エ・イーホス。演奏の出来は「題名」より良い。

この日(10月2日)はEテレ「クラシック音楽館」でも武満作品が登場。
N響1,841回定期('16.9/14サントリーホール)での2作品だ、
1.「ア・ウェイ・ア・ローンⅡ」
2.「ハウ・スロー・ザ・ウインド」
1は弦楽合奏、2は管も加わり、鍵盤も入っていた。
また1,2の間に指揮のパーヴォ・ヤルヴィと武満の長女眞樹との対談が入った。

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