« 亀山折木沢の紅葉 | トップページ | 奈良・京都旅行-6(ホテルグランヴィア京都) »

2016年12月 4日 (日)

11月の2つのコンサート

前項で触れた11月27、29日に聴いた2つのコンサートについて報告したい。

27日(日)は、君津市民文化ホール中ホールでミューズマンドリンアンサンブルの第20回定期演奏会を聴いた。地元の愛好団体で、演奏レベルはなかなか高い。
年1回のペースでこのホールで定演をやっており、私は第1回('97)から毎回ではないが何回か聴いている。今回は久し振りだ。
メンバーは結構入れ替わっているようで、第1回からの人は2人のみとの事。その内の一人は多分指揮者だ。センスが良くいつも感心させられる。
プログラムは前半マンボno.5、エル・チョクロ、花祭りetc.のラテン・レパートリーとNHK朝ドラと大河ドラマのテーマ曲、後半スパニッシュ・レパートリーでS.F.ジャングレコ「組曲「スペイン」」、「カルメン」から「ハバネラ」、「ジプシーの歌」、そして「アランフェス協奏曲」第2楽章だった。

マンドリンという楽器は明るい音を出すので良い、と言ったのはNHKFM「きらクラ」司会のふかわりょうだが、マンドリンアンサンブルの音響はイタリア南部の明るい陽光を思わせるもので、心をさわやかにする。
この日私が注目していたのは最後の「アランフェス」第2楽章だ。バックをマンドリンアンサンブルで、ギターは原譜通りで演奏された。ソロはギターパートのメンバーの一人が担当したが、この人は「アランフェス」のみで他の曲目の時はステージに出て来なかった。理由は演奏の負担のためか?
指回りはよい人で好演だった。気になったところもあまりなく、出だしの和音の刻みが走っていたこと、カデンツァで暗譜のほころびが出たこと、カデンツァからテュッティへ移行するところのラスゲアードでぐらついたこと位だった。
ただ音はやや雑な感じがした。またアンコール1曲目の「アストリアス」もギターソロとマンドリンアンサンブルだったが、この時のソロは足を組んで演奏したが、そのようにするものなのか?
アンコール2曲目はマンドリンアンサンブルで「エスパニア・カーニ」。懐かしい曲で締めとなった。

29日(火)は木更津市矢那の、かずさアカデミアホール201会議室で「ザビエル・ジャラギターリサイタル」を聴いた。

1img_6532

上はチラシの一部。昨年の第58回東京国際ギターコンクール優勝者。アメリカミネソタ州出身で、パリの国立音楽、舞踏専門学校で学位取得。リュートも学んでいる!
当日受付でもらったプログラムは(公社)日本ギター連盟の「新進芸術家ギタリストの饗宴2,016」。
コンクール優勝者へ副賞として与えられる国内コンサートの一環としての企画だった。
11月19日の静岡を皮切りに、12月3日の白寿ホールまで、全国8か所で同一プログラムでのコンサートを行うもの。

プログラムは以下のとおり。

第1部
1.J.ダウランド「3つのファンタジア(P5、P71、P7)」 (P5、P71は予定通り弾かれ、P7はクープランの「神秘の障壁」へ変更となった。)
2.M.C=テデスコ「ゴヤの絵画による24のカプリースNO.18」
3.A.ロースソーン「エレジー」
第2部
4.M.リョベート編「3つのカタロニア民謡」 盗賊の歌~アメリアの遺言~聖母の御子
5.M.C=テデスコ「世紀をわたる変奏曲」op.71
6.J.コリンズ「エレジー」

クラシックギターの生演奏を聴くのは久し振りだ。
そして技術的にも音楽的にも大変にハイレベルな奏者に巡り合えたことは幸運だった。
まず音が明るく、非常に清澄で、かつ音量がある。
演奏の姿が大変に美しい。
右手、左手の動きは無駄がなく、特に指板上から和音を紡いで行く左指には惚れ々れさせられた。
どんなに急速な音形でも淀みなく音は奏され、どんなに複雑かつ急速な指板上の移動へもしっかり左指は対応していた。
ピアニシモでも音は会場の隅々へ行き渡り、あいまいな音は一音もなかった。

音色は清潔感があり、今回演奏された作品に向いていると感じた。
特にはじめに演奏されたダウランドに。
2部はじめに魅かれた3つのカタロニア民謡は巷間親しまれている名曲だが、それを格調高く、純粋な精神性を感じさせる演奏で展開させたのは特筆に値する。
特に3曲目の「聖母の御子」の精神を浄化させてくれるような演奏は、奏者の崇高な人間性を感じた。

1部、2部のそれぞれの中間へ配置されたテデスコ作品の演奏も素晴らしいものだった。

そして1部、2部の最後は共に「エレジー」で締めくくると云うプログラム・センスの良さも好感が持てた。
1部のロースソーンの「エレジー」は大変な難曲と思うが、ギターという演奏がむつかしい楽器でありながら技術をまったく感じさせず、好きなギターの音色でダイレクトに音楽を享受するという、稀な体験をすることができた。

実はコンサートに先立ち手持ちの音源で予習をして臨んだ。
ダウランドは、Jakob Lindbergのリュート作品全集(4枚組、'94,'95)、テデスコは山下のCD(CROWN:CRCC-6,'91、CRCC-32,'01)を聴いたが、2曲の「エレジー」は心当たりがなく未知の作品と思っていた。

ロースソーン「エレジー」は、演奏前に奏者が解説していたが、英語だったので充分聴き取れず、休憩中に随行の方へ聞いてみると、J.ブリームの委嘱作品だが完成前に作曲者が死亡してしまったので、終結部をブリームが補筆して完成させた作品だとのこと。
ロースソーンという表記でわからなかったが、ローソンという人の作品はブリームのdiscにあった事を思い出し、帰宅後確認して見ると現代作品を集めたLPに入っていた。
見ると「ローソーン」とあった。「Rawsthorn」が原語だが、英語として発音すると、”Raws - thorn”と云う感じになって、「ロースソーン」なのだろうが、それを聴くと「ローソーン」と聴こえるので、日本語として表記するのは「ローソーン」とした方が良いと思う。

下は「現代ギター名曲集」J.ブリーム(RVC:RCL8358,'83)

1img_6534

J.コリンズ(Jeremy Collins)「エレジー」は、「エレジー」と言いながら何か明るさを感じる作品だった。
これも演奏前に奏者が解説して、変則調弦の作品で調弦に1分頂きます、と云って調弦に入ったのが印象的だった。
プログラムの解説を見ると、コリンズは1,986年生まれで今年30才のアメリカ人のギタリスト、作曲家。変則調弦の作品を好んで書く人のようで、この作品も①=E、②=C、③=G#、④=E、⑤=A#、⑥=C#と通常の音は①弦のみ。

多分C.ドメニコー二の「コユンババ」のように調弦前の楽譜を併記し、そちらで運指を取るような記譜なのではないか?この曲は、①、②、③、⑥弦が変則調弦となる。

下は「コユンババ」の楽譜

1img_6533

クープランの「神秘の障壁」はD.ラッセルのCDにあった。("Air on a G String"TERARC:CD80693,'08)
ちなみにオリジナルはチェンバロ作品で「クラブサン曲集第2巻第6組曲」の第5曲にあたる。
同じくラッセルのCD”Renaissance Favorites for Guitar"(TERARC:CD80659,'06)にはダウランドのファンタジア(P5)が納められている。

« 亀山折木沢の紅葉 | トップページ | 奈良・京都旅行-6(ホテルグランヴィア京都) »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 11月の2つのコンサート:

« 亀山折木沢の紅葉 | トップページ | 奈良・京都旅行-6(ホテルグランヴィア京都) »