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2017年1月10日 (火)

ウイーン・フィル・ニューイヤーコンサート2,017

元旦の夜、NHKEテレでウイーン・フィル・ニューイヤーコンサート2,017を観た。
今年も健康で新年を迎える事が出来て、ニューイヤーコンサートを鑑賞出来た幸せを噛みしめている。

今年はグスターヴォ・ドゥダメル(Gustavo Dudamel)が振った。1,981年生れの何と35才!
ニューイヤーコンサート史上最年少との事。
ニューイヤーコンサートの初指揮者は、'11年のフランツ・ヴェルザーメスト以来との事。
ドゥダメルとウイーン・フィルは'07年ルツェルン音楽祭で初共演し、'11年にウィーン・フィルの定期演奏会にデビュー、以来今日まで50回近く演奏を重ねているというから相性抜群という感じだ。
手元にNHK音楽祭'13のミラノ・スカラ座来日公演「アイーダ」全4幕のDVDがある。'13.9/19NHKホールのもので、指揮はドゥダメル。ミラノ・スカラ座デビューは'06年「ドン・ジョバンニ」だったそうで、ウイーン・フィルとの初共演とほぼ同時期。ちなみに'12年のウイーン・フィル来日公演の指揮をしているとの事。巨匠への道を邁進しているという感じだ。
ドゥダメルは、TVでエル・システマというベネズエラの教育システムで才能を開花させた天才という位しか知らなかった。
ベネズエラといえば、A.ラウロのギター曲「4つのベネズエラワルツ」が浮かぶ。特に3番は自分も一時愛奏もし、かつて渡辺範彦の名演に酔いしれたこともあり、親近感はある。ただ南米というとクラシック音楽というよりサンバとかボサノバ、アルゼンチン・タンゴやアンデス地方のフォルクローレと結び付けてしまう。
とは言え、メキシコのポンセ、ブラジルのヴィラ=ロボスといった特にギター音楽には重要な作曲家がいて、バレンボイムやアルゲリッチといった大天才はアルゼンチン出身だ。

今回は特別ゲストとして現地ウイーンのコンサート会場でライナー・キュッヒルを迎え、興味深いインタビュー、事前取材映像を開演前、休憩時間に流していた。
キュッヒルは1,950年生れ(私と同年)で、'71年から昨年夏まで実に45年の長きに亘りウイーン・フィルのコンサートマスターを務め、現在は後進の指導をしているようだ。
この日は会場8列目で初めて客席に座りウイーン・フィルの音を聴いたそうだが、音は頭上を抜けて行ったそうで、もう少し後ろの座席の方がよさそうだ。
後任のコンサートマスターは、'15年冬に試験に合格したホセ・マリア・ブルーメンシャインというこれも31才の若いブラジル系ドイツ人で、昨年の来日公演へ早くも参加しているが、ニューイヤーコンサートへは出ていなかったようだ。
Eテレクラシック音楽館で放送された'16年10月1、2日の録画を見ると、小澤が振った「未完成」とメータの指揮したドビッシー「海」に顔が見える。

ただしコンサートマスターの隣で、コンサートマスターは今年のニューイヤーコンサートのコンサートマスターを務めたライナー・ホーネックという人だ。今年のニューイヤーコンサートの次席はこれまた'11年からコンサートマスターを務めるアルべナ・ダナイローヴァという女性だった。ハーピストは昨年の来日メンバー(2名)の一人だ。
昨年の来日公演では武満の「ノスタルジア-アンドレイ・タルコフスキーの追憶に-」のソロを弾いたムターが印象深い(指揮:小澤。ソロVn、小編成弦楽アンサンブル)。

昨年10月の事前取材映像は、キュッヒルの自宅、彼が現役時代に通い続けた自宅から楽友協会までの市立公園などの通り道(余りにも素敵過ぎる!)、ウイーン楽友協会ホールの楽屋裏の弦楽器修復室、キュッヒルが使用していたコンサートマスターの楽屋etcが紹介され、興味深いエピソードも披露された。

オーストリア放送協会の製作による映像は、ドゥダメルの指揮ぶり、ウイーン・フィル各パートを様々な角度から映し出し、また会場の聴衆の様子も余す処なく伝え、黄金のホールも天井画、支柱のヴィーナス像、豪華に飾り立てられた色とりどりの花々を美しく、迫真のカメラワークで今年も堪能させてくれた。

キュッヒルの引退と若いブルーメンシャインへの交替、ドゥダメルの登場と、世代交替がスピードアップしている感を強くしたニューイヤーコンサートだった。
また6日付け朝日新聞にニューイヤーコンサートを'08,'10年に振ったジョルジュ・プレートルの訃報が載った(4日。92歳)。

来年はムーティとの事。

プログラムは以下のとおり。
☆初登場
◎映像挿入
△バレエ映像(実演)挿入
○2,017年のアニバーサリー

第1部
1.レハール/「ネヒレディル行進曲」☆ オペレッタ「ウィーンの女たち」より。レハール作品はニューイヤーコンサート初。ネヒレディルは音楽教師の名。
2.エミール・ワルトトイフェル/ワルツ「スケートをする人々」op.183☆ ワルトトイフェルは、昨年(ヤンソンス)はワルツ「スペイン」op.236が演奏された。
3.ヨハン・シュトラウス/ポルカ「帝都はひとつ ウィーンはひとつ」op.291◎○ マリア・テレジア生誕300年に因み演奏された。
4.ヨーゼフ・シュトラウス/ポルカ・シュネル「冬の楽しみ」op.121
5.ヨハン・シュトラウス/ワルツ「メフィストの地獄の叫び」op.101
6.ヨハン・シュトラウス/ポルカ・シュネル「別に怖くはありませんわ」op.413 オペレッタ「ベネチアの一夜」のアグリーコラという女性の台詞。
第2部
7.スッペ/喜歌劇「スペードの女王」序曲☆ スッペは一昨年(メータ)「ウイーンの朝・昼・晩」序曲、'13年(ヴェルザーメスト)「軽騎兵」序曲が演奏されている。
8.ツィーラー/ワルツ「いらっしゃいませ」op.518△ ホイリゲ(居酒屋)などで使われるウイーンの言葉「ヘラインシュパツィールト(Hereinspaziert!)」。ヘルメスヴィラでウイーン国立バレエ団が華麗に踊る。白い衣装のプリンシパルはAudrey Hepburnそっくり!
9.オットー・ニコライ/歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」から「月の出」☆○ ウイーン・フィル創立175年に因み、創設者であり、初代指揮者であるニコライの作品が演奏された。しっとりとした静かな曲だ。ウイーン楽友協会合唱団がパイプオルガン前に2列に並んだ。
10.ヨハン・シュトラウス/「ペピータ・ポルカ」 op.138☆ スペインのダンサー、ペピータに因む作品。
11.ヨハン・シュトラウス/「ロトゥンデ・カドリーユ」 op.360☆ 「ロトゥンデ」は1,873年のウイーン万博のために建設された当時世界最大のドーム建築。焼失して今はない。小品の羅列のような曲で、一聴しただけではよく把握できなかったので、ちょっと調べてみた()。
12.ヨハン・シュトラウス/ワルツ「奇抜」op.205☆◎ 映像ではハプスブルグの軍馬だったリピッツァーナー種の飼育所での放牧、訓練所(ヘンデンベルク)、ルネサンス時代の馬術を受け継いでいるスペイン乗馬学校(ウイーン)が紹介された。
13.ヨハン・シュトラウス父/「インド人のギャロップ」 op.111
14.ヨーゼフ・シュトラウス/ポルカ・マズルカ「ナスヴァルトの娘」op.267 ナスヴァルトはウイーン近郊の森。最後にドゥダメルがダナイローヴァからホイッスルを受け取って、森の鳥のさえずりを模して終わる。
15.ヨハン・シュトラウス/ポルカ・シュネル「さあ踊ろう!」op.436☆△ ウイーン国立バレエ団アカデミー団員が演奏中のホールへ雪崩れ込んでコミカルに踊る実演。
16.ヨハン・シュトラウス/ワルツ「千一夜物語」  シュトラウス喜歌劇デビュー作('Indigo')の1曲。 
17.ヨハン・シュトラウス/ポルカ・シュネル「チック・タック」 op.365◎○ ウイーン時計博物館創立100年に因み演奏された。この曲は演奏中様々な趣向を入れる事が多いようだが、ここでは終りに団員が「チクタク、チクタク」と軽快に口ずさんでいた。
以上で本プロ終了。ドゥダメルは一旦袖に退き、再入場後に女性から花束を受けた。

以下はアンコール。
1.エドゥアルト・シュトラウス/ポルカ・シュネル「喜んで」op.228 エドゥアルトが楽友協会最後の演奏会で自ら指揮をした。
再度ドゥダメルは袖に退き、再入場後恒例のウイーン・フィル団員の'Frohes Neu Jahr!'を先導、そして演奏に入る。
2. ヨハン・シュトラウス/ワルツ「美しく青きドナウ(An der schonen blauen Donau)」op.314△ 今年は過去のバレエ映像を多数織り交ぜて流した('64年から'12年まで)。(*2
最後は恒例の「ラデツキー」。会場の拍手と一体に和やかに終わった。
3.ヨハン・シュトラウス父/「ラデツキー行進曲(Radetzky Marsch)」 op.228 

カドリーユ(Quadrille):19世紀初頭のフランスで2または4組のペアが方形になって踊り(2組で方形というのも辻褄が合わないが)、5種類の形式から成っていた(1.Le Pantalon,2.L'Ete,3.La Poule,4.La Trenise,5.La Pastourrelle そしてFinaleが入る)。(以上'Harvard Dictionary of Music'第2版10刷より。)改めて聴き直してみた。6曲から成る作品であることがわかる(1.重厚(緩)2.軽快(急)3.第1曲の変形(?)(緩)4.軽快(急)5.軽快かつ華やか(急)6.フィナーレ(急)、という風に聴いた)。
*2:参考→ウイーンフィル・ニューイヤーコンサート2015 (その2) 

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