« 箱根・熱海-6(最終回・MOA美術館その2) | トップページ | 「武満徹・音楽創造への旅」-2 »

2017年10月20日 (金)

「武満徹・音楽創造への旅」-1

早いもので10月も終わろうとしている。ついこの間まで暑さに辟易していたのに、その暑さに懐かしさを覚えるほどである。先週来連日のような雨が続くに連れ、秋を通り越して冬のような寒さに驚いている。

今年は暑さが殊のほか厳しいと大いに脅されたが、いざ夏を迎えてみればさほどでもなく、残暑も比較的早く終わってしまった。

今年の夏は、立花隆「武満徹・音楽創造への旅」を繙いて武満徹にどっぷり浸かった。

立花隆は30、40代の頃「宇宙からの帰還」、「アポロ13号奇跡の生還」とか、科学朝日に連載されたレポート記事を書籍化した「サイエンス・ナウ」のシリーズ数冊とかを読んだ程度だから、熱心な読者というにはほど遠い。また、印象的な著述家の一人ではあるものの、自分の立花隆のイメージの中には音楽はなかった。

「武満徹・音楽創造への旅」は武満徹没後20年の昨年刊行され(第1刷の発行日は武満の命日にあたる2月20日)、私は新聞の書評で出版を知って購入し(第3刷)、1年後の今年の初夏から読み始めた。

780頁という桁外れのヴォリュームで、はじめは読み流すような気楽な気持ちで読み始めたが、読み進めるに連れぐんぐん引き込まれて行き、結果大げさだが記念すべき武満三昧の夏となった次第である。

Img_7038_2

巻頭に「文學界」’92年6月号~’98年5月号への連載に加筆・修正し、構成・内容は連載のままだが、武満の生前と没後でⅠ、Ⅱ部に分け、連載各回に新たにタイトルを付けたとあるので、最終章が66章なので連載回数は66回ということになるが、連載期間は丸6年だから72回、20章冒頭により一回休載していたことがわかるので71回となるはずで、恐らくその他にも休載となった号が5回あるのだろう。

立花隆の武満徹へのインタビューを核に、武満の著作、「音楽芸術」等関連資料、武満の関係者へもインタビューが及んで、それらを織り交ぜて武満の軌跡を綿密に追っている。

「文學界」への連載というのは奇異な感があるが、文藝春秋は立花隆の古巣であり実現した企画なのだろう。それはともかく、彼が音楽、更に愛好者がぐっと狭まる現代音楽にも深い造詣があって、ツボにはまった質問を受けて武満の方も興が乗り、初めて明かす話もあって二人の息がぴたりと合い、途方もない超ロングインタビューとなって、結果比類のない成果として結実することとなった。

武満は、1,993年10月14日付け毎日新聞夕刊掲載の「人間の「存在」について」(「時間の園丁」)の中で立花の連載に触れている。時間的には16,17章あたりまで進んでいた頃と思われるが、武満自身この連載を楽しみにしていたのではないか。そして惜しみない時間を立花のために割き、全面的に立花に協力した。

31章まで読み進め、その大分前からだったが、武満の初期の作品、「二つのレント」とか「弦楽のためのレクイエム」、また「ルリエフ・スタティク」をはじめとするミュージック・コンクレート作品、また頻繁に本文へ引用される武満の著作を是非とも聴きたい、読みたいとの気持ちを抑える事が出来なくなり、しばらくは立花の著作から離れ、直接それらと向き合う日々を送った。

地元図書館にあたり、小学館版「武満徹全集」Vol.1(管弦楽作品集)が隣市にある事を知り、貸し出しを受けた。

Img_7018_2

地元図書館からは著作集最後の2冊「遠い呼び声の彼方へ」、「時の園丁」を借り、県立中央図書館所蔵の「音楽の余白から」、「音楽を呼びさますもの」を取り寄せてもらい、最後に「樹の鏡、草原の鏡」を借りた。

Img_7017_2

Img_7025_2

「弦楽のためのレクイエム」は「全集」Vol.1に入っているが、「二つのレント」と「ルリエフ・スタティク」はそれぞれVol.2とVol.5に収められており、直近では千葉市中央図書館にあることがわかり、あたってみると市民以外への貸し出しは制約があり(予約不可etc.)、移動に片道1時間はかかることもあって、どうしようか思い惑っている内に全集を所有する友人に思い当たり、相談すると快く貸し出しに応じてくれ、しかも好きな時に返せばよいとまで言ってくれて、Vol.2とVol.5へも触れる事が出来た。友人の厚意がありがたく、嬉しく思っている。

武満の処女エッセイ集「音、沈黙と測りあえるほどに」は現時点で目を通していないが、立花隆を読んでいて無性に体験したいと思った事はほぼ達成できた。

「武満徹・音楽創造への旅」はまだ読み終えていないが、以下今回の武満作品鑑賞で派生した事共について報告したい。

« 箱根・熱海-6(最終回・MOA美術館その2) | トップページ | 「武満徹・音楽創造への旅」-2 »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「武満徹・音楽創造への旅」-1:

« 箱根・熱海-6(最終回・MOA美術館その2) | トップページ | 「武満徹・音楽創造への旅」-2 »