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2017年10月20日 (金)

「武満徹・音楽創造への旅」-2

まず「武満徹・音楽創造への旅」を読むまでの武満徹体験について振り返ってみたい。

手元の資料で最も古いのは小澤征爾、トロント響のLP(RX2355,’79年)で、「ノヴェンバー・ステップス」、「アステリズム」、「グリーン」という中期の代表作が入っている。「アステリズム」のピアノは高橋悠治。解説は船山隆。
録音時期が明示されていないが、或いは武満全集Vol.1所収の’69年1月の録音と同じかもしれない。
このLPレコードが武満初体験かどうかはっきりしないが、「ノヴェンバー・ステップス」の尺八と琵琶、殊に尺八が脳裏に焼き付けられたのを覚えている。「アステリズム」の終わり近くのロング・クレシェンドも強烈だった。今回の全集で、「アステリズム」(’68)に先立つ「アーク(弧)」の第1部第3曲「Your love and the crossing」(’63)、第2部第1曲「Textures」(’66)でも同様なロング・クレシェンドが出て来ることを知った。

1,984年6月7日放送のNHKFM「日本現代音楽の夕べ」(4月6日簡易保険ホール)には一柳慧、石井真木、柴田南雄等に混じって武満の「夢の縁へ」(外山雄三、N響、鈴木一郎(ギター))が入っていた。

同年6月13日「作曲家の個展’84 武満徹」(岩城宏之、N響、鶴田錦史、横山勝也、堤剛、東京文化会館)は聴きに行った。

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「地平線のドーリア」、「ノヴェンバー・ステップス」、「鳥は星形の庭に降りる」、「オリオンとプレアデス」そして「ドリームタイム」が演奏された。
岩城のタクトに清潔感があり、刻みを見ていると何となく音楽が明確になってくるような気がした。演奏終了後に武満がステージへ上がり、聴衆の拍手に応えていた。
終演後のロビーで今回全集を貸してくれた友人とばったり出会ったのも懐かしい。

またこのコンサートはNHKFM「FMクラシックアワー」でオンエアされた。

武満の没年である1,996年9月23日放送のNHKFM「武満徹の音楽を聴く」(同年8月6日サントリーホールでの追悼ロングコンサート(昼・夜)の抜粋。スタジオ司会は池辺晋一郎、ゲスト篠田正浩)は、管弦楽、室内楽、独奏、合唱作品に至るまで幅広く演奏されている。全集収録の演奏者も多い(岩城宏之、木村かおり、東混、堤剛、荘村清志、佐藤紀雄etc.)。
放送では、池辺晋一郎、篠田正浩が興味深い話を繰り広げて大変貴重な録音である。
別項で触れるが、武満を語る上で欠かせない人である秋山邦晴の夫人が高橋アキで、彼女が池辺とは芸大の同期だったことetc.

1,997年2月20日の「武満徹に捧ぐ その命日に」という追悼コンサート(紀尾井ホール)も聴きに行った。ピアノ、ヴァイオリン、フルート、ギター等の独奏作品を中心としたプログラムで12曲中ギターソロ3作品をはじめギターが入る作品が5作品を占めていたことが印象的だった。

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このコンサートも同年6月5日にNHKFM「FMベストオブクラシック」でオンエアされている。

これも1,997年8月31日NHKFM「海外クラシックコンサート」で「グレン・グールド国際音楽賞の武満徹」がオンエアされた。(→参照:'16.10/15
同音楽賞授賞記念コンサートをはじめ1,996年に武満作品を含むヨーロッパ(ベルリン、ヘルシンキ)のコンサートを紹介したもの。

2,011年にNAXOS から出たNHK「現代の音楽」アーカイブシリーズ「武満徹」のCD(NYNG003)は、「地平線のドーリア」、「テクスチュアズ」、「「風の馬」よりⅠ、Ⅱ」、「ノヴェンバー・ステップス」、「ピアニストのためのコロナ」、それと武満と杉浦康平の対談(4分弱)が収められている。’63年6月NHKで放送された対談「「環礁」を聴き終えて」から取られたもの。杉浦は「コロナ」等で図形楽譜作成にあたり、武満に協力している。

あとギター関係は福田進一、鈴木大介、John Williams等により独奏作品、室内、協奏作品をカバーしてきた。
今回のギターに絡む体験については項を改めて報告したい。

カセットに録音時期が記されておらず、同種のテープで時期のわかるものから推すと’84年7月か8月頃の放送と思われるNHKFM「FM音楽手帳<音楽家訪問 武満徹>」というお宝テープがある。埋もれていたテープをチェック中に、ホロヴィッツの来日公演と共に目に止まったものである。(→参照:'14.9/15)インタヴューの聴き手は慶応大教授(当時)中野博詞。質問は周到に用意され、恐らく放送枠に合わせて30分弱へまとめたものと思う。
武満の日常について、趣味の探偵小説は1/3ほど書いている自作品があること、修行時代のこと等多岐に亘り、現在の音楽観について中野氏の問いかけに対して、西洋、東洋音楽への向き合い、「沈黙」が重要なモチーフとなっていることを淡々と語っているのが印象的である。

また関連するものとして、1,992年12月31日の大晦日のNHKFM「ケージとメシアンの音楽」も今回改めて聴き直したが、大変貴重な録音であることを再確認した。ケージとメシアンの追悼番組で7:15から夕方(16:00?)まで様々なゲストの話を交えて両作曲家の軌跡を振り返るという破格の番組だったが、私は正午前のメシアン「トゥーランガリラ」抜粋を放送するあたりと、午後のはじめのケージの音楽についてのあたりのみを120分テープへ録音した。武満徹も座談会へ出ていたようだが、残念なことに録音外だ。
司会は先のLPレコードの解説者である船山隆と白石美雪。ゲストは、一柳慧、秋山邦晴、高橋アキetc.
高橋アキはメシアン「音価と強弱のモード」(’49)を演奏している。
秋山は博識振りを伺わせ、何よりその肉声が聴けるのは貴重だ。

2,013年5月19日放送のNHKEテレ「言葉で奏でる音楽~吉田秀和の軌跡~」では、以前もこのブログで触れたが、1,961年8月の二十世紀音楽研究所第4回現代音楽祭での武満の「リング(環)」初演を取り上げている。(→参照:'13.5/19

「武満徹・音楽創造への旅」を読むまでの私の武満体験は概ね以上のとおりだ。
「音楽創造への旅」は、「ノヴェンバー・ステップス」に至る迄は詳細な記述が一貫しているといえるが、武満没後の連載となった第42章以降は時系列的な記述から覚え書き的になって、断片的な内容なのが残念といえるのだが、武満の貴重なコメントも入っており、価値は高い著作である。

以下、「弦楽のためのレクイエム」、「二つのレント」と「リング(環)」を核として今回の武満体験を報告していきたい。
(続く)

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