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2018年12月21日 (金)

「京都・奈良の旅’18」-8(最終回「正倉院展」)

奈良ホテルから徒歩で「正倉院展」へ向かう。
荒池を挟む道路沿いの歩道を抜け、だらだらの坂を登り切ると春日大社の一の鳥居が見えてくる。

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春日大社は今年創建1250年を迎えた。

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奈良公園へ入る。まっすぐ歩いて行くと「正倉院展」会場の奈良国立博物館新館へたどり着く。

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仏像館脇の鹿。正面のテントは仮設のコインロッカー用。

奈良ホテルで前売り券を購入していたので、入館待ちの行列に並んだ。正面入り口まで1回半の往復。平日でもあり、左程でもない混みようだ。

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今年で第70回の節目を迎えた「正倉院展」は戦後のスタートで、第1回が昭和21年(1946)に開かれている。
私は五十代半ばに初めて参観してから今年で8回目になる。平成27年(2015)からは毎年来ている。

今回印象的だったのは
⑮玳瑁螺鈿八角箱(たいまいらでんはっかくのはこ)→図録表紙を飾っている
⑯沈香木画箱(じんこうもくがのはこ)

「正倉院御物」の中核を成している聖武天皇遺愛の宝物の数々は北倉へ納められていて、「正倉院展」の目玉になっているのだが、上の2品はいずれも中倉の宝物だ。
NHK日曜美術館で11月4日に放送された「正倉院展」特集へゲスト出演した奈良博館長の松本伸之氏が述べていたが、単眼鏡は必須アイテムで、肉眼では認めるのが困難な微細な部分の精密丹念な加工を単眼鏡越しに見ていると、余りの見事さにため息が出てくる。
⑯は蓋と側面の採絵に目を奪われてしまったが、改めて今これを図録で見ると色彩の鮮やかさ、生命力溢れる図柄の魅力が伝わってくる。更に採絵を縁取る木画が見事だ。箱根の寄せ木細工を連想させられた。
そして展示では気が付かなかったが、下側に透かし彫りの羽目板が付けられており、これも精密で実に見事。

過去の展示との関連では
① 平螺鈿背八角鏡(へいらでんはいのはっかくきょう)
私が初めて「正倉院展」を参観した第57回(2005年)に出陳されていた。その時は図録の表紙を飾っていた。

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⑤古人鳥夾纈屏風(こじんとりきょうけちのびょうぶ)
昨年の第69回の「5羊木臈纈屏風(ひつじきろうけちのびょうぶ)」、「6熊鷹臈纈屏風(くまたかろうけちのびょうぶ)」を思い出した。(→ 2017.11/30

また妻が聖語蔵の経巻3点に引かれている罫線についてスタッフへ質問したところ、下のような参考書のコピーをもらった。最後の部分に「正倉院展」へ出陳された参考例が挙げられているが、何時のものなのかこのコピーではわからない。今年の図録から遡って見ていくことにしたら、あっさり昨年の図録の55であることが分かった。

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なお今年の図録冒頭の概説「宝物の献納について-光明皇后による宝物献納を中心に」(内藤栄氏)は「国家珍宝帳」を中核とする5回に及ぶ光明皇后による宝物献納の意味を国分寺・国分尼寺建立の詔(みことのり 天平13年(741))、「国家珍宝帳」の7件の「除物」との比較考証により解き明かす試みで、そこに浮かび上がる関連人物を、系図(*)によりその相互関係の複雑さに見入りつつ、大変興味深く読んだ。(*2)

(*)坂上康俊「平城京の時代」(岩波新書)P.99、197
(*2)献納宝物の内「種々薬帳(しゅじゅやくちょう)」の願文に該当するものが「建立の詔」にない点に着目し、聖武天皇が鑑真により受戒した折のテキスト「梵網経」の第九軽戒(きょうかい)の疾病人への供養の教えを対応させている点に内藤氏の深い洞察力を感じる。

今年は東大寺大仏殿の北側にある正倉の見学をした。

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2年前公開時間を知らずに閉門後に行ってしまい、苦い思いをしているので今回は予め時間を確認して行った。
通常は午後3時までのようだが、この日は特別公開中で午後4時直前だったが見学することが出来た。

正倉前に置かれた柵までが立ち入り可能で、やや距離はあるものの眼前の正倉と向き合うことが出来る。可成りの大きさで私のカメラでは全体を捉えることは出来ない。写真では中倉と南倉が写っている。左後方に見えている瓦葺き(?)の広い屋根の建物は西宝庫。昭和37年に完成し、正倉院宝物は現在ここに保管されている由。(杉本一樹「正倉院」(中公新書))
日曜美術館でも冒頭で紹介していた「開封(かいふう)の儀」は、勅封とされている西宝庫に宮内庁の勅使立ち会いの元、宝庫の扉が開封されて宝物の曝涼が行われる。それに併せて「正倉院展」で宝物が一般公開されるわけだ。

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鹿の群れ。写真右に戒壇院がある辺りのショット。

近鉄奈良駅発16時30分の特急京都行きへ乗る。

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平城宮跡、大極殿の右に工事中のクレーンと大規模な足場が見えているが、大極殿の南門の復元工事の現場のようである。

18時45分京都発のぞみ135号で帰途に着く。
21時30分東京発さざなみ9号へ乗車。
22時32分木更津着。
最後まで天候に恵まれ、病み上がりの身ながら日を追うに連れ体調も上向いていき、予定通りの旅が出来たのは幸いだった。
(終わり)

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