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2019年1月12日 (土)

「ウイーン・フィル・ニューイヤー・コンサート2019」

2019年の元旦の夕べにウイーン・フィル・ニューイヤー・コンサートを視聴した喜びを噛みしめている。
今年は60代最後の年にあたり、この1年を無事過ごすことが出来て来年もまたニューイヤー・コンサートを聴くことができるよう祈念しつつ視聴した。

指揮はクリスティアン・ティーレマン。1959年生まれで今年60歳となるドイツ人。ティーレマンの指揮を見るのは今回のニューイヤー・コンサートが初めてである。ポランスキーの「戦場のピアニスト」で主人公シュピルマンの潜む廃墟へ食料を運ぶドイツ軍将校役の俳優を彷彿とさせる端正な顔立ち。
ウイーン・フィルとの共演は実に120回を数えるそうで、ティーレマンへ寄せる信頼は厚く、満を持してのニューイヤー・コンサート初登場のようだ。
楽団長のダニエル・フロシャウアーによると、昨夏1ヶ月をかけてティーレマンとプログラムを検討した由。ティーレマンには「マジック・モーメント」、マエストロ・カラヤンやクライバーのような至高の指揮を期待すると言っていた。

コンサートマスターはライナー・ホーネック、次席にはアルベナ・ダナイローヴァ、総勢70名の陣容。
ウイーン・フィルは年間30~40回の公演、年50~70回の海外ツアー、そしてウイーン国立歌劇場での演奏(オペラ)が年320回!!だという。コンサートマスターはたしか4人いて、オーケストラも2~3グループはあるのだろうが、相当過密なスケジュールだ。

今回初登場は2作品のようだが、ヨハン・シュトラウス2世だけでも作品数は500を超えているようで、正倉院展もそうだが当分の間初登場作品が出尽くす事はないだろう。

休憩時間に紹介していたが、王室礼拝堂の日曜日のミサへウイーン宮廷楽団という名称で演奏しているそうだ。これはウイーン・フィルのルーツと云えるもので、15世紀末に神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世(1459-1519)によって創設されたという。
楽友協会の資料館の映像に18世紀ギターが陳列されていた。サウンドホールは大きめ、14フレット以上の指板は斜めにカットされ高音部のみとなっている。製作者は誰か?(アントン・シュタウフェル?)
あと楽友協会音楽院(現ウイーン国立音楽大学)初の日本人留学生幸田延(こうだのぶ、1870-1946)を紹介していた。東京音楽学校教授として滝廉太郎、山田耕筰を指導したそうだ。

NHKは楽友協会前に特設スタジオを構えて、森田洋平アナ、ゲストに女優の中谷(なかたに)美紀、ウイーン・フィルメンバーのミハエル・ブラデラー(Cバス、事務局長)、へーデンボルグ和樹(第1Vn)、ダニエル・フロシャウアー(同、以上3名は今回のコンサートへ出演)そして元コンサートマスターのライナー・キュッヒル夫妻と大変に豪華な顔ぶれだった。
キュッヒルは16、17年にもゲスト出演していて常連みたいな存在だが、真知子夫人は恐らく初めての登場だと思う。夫人が日本人だということは有名で、私も以前から知っていたが、お顔を拝見したのは初めて。キュッヒルがドイツ語で話していたので夫人が通訳していたが、話しぶりからその内助の功の程が窺え、かつ大変な賢夫人である事がわかった。
へーデンボルグ和樹は2001年にウイーン・フィル入団後2002年の初のニューイヤー・コンサートでの小澤征爾との共演、ウイーン・フィル入団前の初仕事がティーレマンだった事を感慨深げに話していた。

来年の指揮者はアンドリス・ネルソンスという人。1978年ラトヴィア生まれの40才。ボストン響音楽監督、ライプツィヒ・ゲバントハウス管のカペルマイスターという要職に就いている由。
ドゥダメル世代が音楽界の中核を占めつつある事が伝わって来るようで、彼等からするとティーレマンはもう立派な巨匠ということなのだろう。

以下プログラムのメモを記す。
2019年はヨハン・シュトラウスの没後120年、日墺修好通商航海条約締結150年の年。不平等条約ではあったが、以来両国の国交が始まって節目の年を迎えたわけである。

○初登場
◎映像挿入
△バレエ映像

第1部
1. カール・ミヒャエル・ツィーラー : シェーンフェルト行進曲op.422○
シェーンフェルトはツィーラーが所属していた歩兵連隊の上官。
2.ヨーゼフ・シュトラウス : ワルツ「トランスアクツィオン」op.184◎
映像:ウイーンの日本庭園2箇所。19(ドゥブリンク)区にある「世田谷公園」。1992年に作られ、19区の姉妹都市である世田谷区に因んで命名された。それとシェーンブルン宮殿内のもの。
作曲者は「トランスアクツィオン」へ愛する2人の関係を描写する意図を込めたそうだが、日墺の150年に亘る文化交流(トランスアクツィオン)を記念する意味で選曲された由。
3.ヨーゼフ・ヘルメスベルガー : 妖精の踊り
ヨーゼフ・ヘルメスベルガーは、ウイーン・フィルのコンサートマスターを経て1900年から2年間指揮者を務めた人。過去にも度々作品が採り上げられている。
本作はDisneyアニメのBGMのようなファンタジックな曲だ。
4.ヨハン・シュトラウス : ポルカ・シュネル「急行列車」op.311
5.ヨハン・シュトラウス : 北海の風景op.390
1878、9年夏を北海のフェール島に過ごし、その印象を曲にした。
短い序奏、後奏に挟まれ、典雅な旋律が繰り返される。今回最も魅せられた曲だ。
6.エドゥアルト・シュトラウス : ポルカ・シュネル「速達郵便で」op.259
ドイツ語のテロップでは「Galopp」とあった。ポルカ・シュネルとギャロップは別物だと思うが・・・邦訳にあたっての監修者の見識が他にも表われている箇所がある。5の「北海の「風景」」と9の「芸術家の「生活」」だ。それぞれ「Nord-see-bilder」、「Künstler-leben」で「北海の絵」、「芸術家の生涯」と訳されることもある。

第2部
7.ヨハン・シュトラウス: 喜歌劇「ジプシー男爵」序曲
8.ヨーゼフ・シュトラウス : ポルカ・フランセーズ「踊り子」op.227○
ポルカはチェコ西部ボヘミア地方発祥の2拍子の民族舞踊が基になっている。
9.ヨハン・シュトラウス : ワルツ「芸術家の生活」op.316△
バレエ映像:ウイーン国立歌劇場。5組のペア。豪華な歌劇場内各所で踊り、ラストは漆黒の奈落から上昇してステージから壮麗な観客席を見る趣向。ダンサー達は客席へ下りて振り返ると豪華な緞帳が下りてきて文字通り幕となった。
日本人ペアがいて、橋本清香(はしもときよか、ウイーン国立バレエ団第1ソリスト)、きもとまさゆの2名。橋本さんは昨年の休憩時間のゲストだったので、すぐ分かった。
2006年(ヤンソンス)の時も 「芸術家の生活」だった。
10.ヨハン・シュトラウス : ポルカ・シュネル 「インドの舞姫」op.351
「インディゴと40人の盗賊」のメロディーをモチーフとしている。
11.エドゥアルト・シュトラウス : ポルカ・フランセーズ「オペラの夕べ」op.162
12.ヨハン・シュトラウス : 歌劇「騎士パスマン」から「エーファ・ワルツ」op.441
13.ヨハン・シュトラウス : 歌劇「騎士パスマン」から「チャールダッシュ」op.441△
Csárdás
バレエ映像:グラフェネック城。ウイーン北西60kmに位置して毎夏音楽祭が開催されている由。
14.ヨハン・シュトラウス : エジプト行進曲op.335
団員の歌声が入った。2014年(バレンボイム)
15.ヨーゼフ・ヘルメスベルガー : 幕間のワルツ
バレエの幕間用に作曲された。
16.ヨハン・シュトラウス : ポルカ「女性賛美」op.315
ドイツ語のテロップは「Polka mazur」。1867年のパリ万博で女性の聴衆に献げられた。
2006年(ヤンソンス)
17.ヨーゼフ・シュトラウス : ワルツ「天体の音楽」op.235◎
雪化粧の山林、山並みの映像。
2009(バレンボイム)、2013(ヴェルザーメスト)、2016(ヤンソンス)と採用率が高い。

アンコール
1.ヨハン・シュトラウス:突進ポルカop.348
本曲も「インディゴと40人の盗賊」のメロディーをモチーフとしている。フレンチカンカンをポルカ風に味付けしている。
2.ヨハン・シュトラウス:ワルツ「美しく青きドナウ」op.314◎
例年の如く指揮者の主導でウイーン・フィルが
「新年あけましておめでとうございます」
とテロップが出るが、「Prosit  Neu-jahr!」と聞こえた。
「新年に乾杯!」といった感じか?
映像:ドナウ川ヴァッハウ渓谷へ点在する城の数々と優美なドナウの風景。
(参考)2015年ニューイヤー「美しく青きドナウ」を参照(→2015.1/12
3.ヨハン・シュトラウス(父):「ラデツキー行進曲」op.228

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