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2019年3月27日 (水)

ギターコンサート2題

3月23日(土)と24日(日)にギターコンサートへ行って来た。

23日は千葉市生涯学習センター2階ホールでギターサークル和弦の「春のコンサート」。
前日はそれに相応しい暖かさだったが、この日は冬に逆行したかのような寒さで、朝方は雨も降っていた。
和弦は一昨年から毎年聴いている。(→2017年1月10日 )毎回アンサンブルの選曲、そして編曲に主張があり、メンバーも力のある人が何人かいて、聴きがいがあるグループである。
今回はアストル・ピアソラ特集で、初期から晩年に至る6作品をリーダー鈴木勝氏のトークを交えて聴かせた。
研究振りを窺わせるトークだった。
ピアソラ作品のプログラムは以下のとおり。
・孤独(Soledad)
・メディタンゴ(Meditango)
・オブリビオン(Oblivion)
・ブエノスアイレスの冬(Invierno Porteño)
・タンティ・アンニ・プリマ(Tanti Anni Prima)
・ミケランジェロ70(Michelangelo70)
また二重奏で弾かれたH.ヴィラ=ロボスの「トリストローザ」(鈴木勝編)は、なかなか佳曲で初めて聴いた。ヴィラ=ロボス初期のピアノ曲のようである。

アンコールはバッハ「羊は安らかに草を食み」(鈴木勝編)。バッハの世俗カンタータ(BWV208)だ。
今回は千葉市の友人、妻と並んで聴いた。
毎回会場で顔を合わせる木更津市のY氏は今回も夫人と来ていた。
終演後楽屋へ行って鈴木氏外のメンバーと言葉を交わして帰途に就いた。

翌24日は木更津市のかずさアカデミアホール201A会議室で「ギターデュオコンサート」。

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ダヴィデ・ジョヴァンニ・トマシ(Davide Giovanni Tomasi、1991年生)、マルコ・ムッソ(Marco Musso、1992年生)の若いイタリア人チームで、2016年に結成している。
ネットで調べると二人とも数々のコンクールで入賞を重ねており、ソロ活動もしている。現在は、共にオーストリアのグラーツ音楽大学でPaolo Pegoraroに師事しているようだ。
ダヴィデは第59回東京国際ギターコンクール(2016年)で1位を取っている。

2016年11月にこの会場で聴いたザビエル・ジャラ(第58回東京国際1位)(→2016年12月4日 )も素晴らしかったが、この二人もすごい実力を備えている。

実は当初このコンサートは予定しておらず、チケットはY氏から譲り受けたもの。
前日千葉から帰って来て、夜Y氏から電話があり急用で行けなくなったのでどうか、と言われて一も二もなくいただくことにした。そして24日の朝にY氏と会ってチケットを手にしたのだった。

プログラムは以下のとおり。
前半
・2つの前奏曲とフーガ(平均律クラヴィーア曲集第1巻第1、2番)/J.S.バッハ
・3つの前奏曲とフーガ(平均律ギター曲集第4、5、24番)/M.C-テデスコ
後半
・ソナチネ/M.ラヴェル
(Ⅰ:Modéré、Ⅱ:Mouvement de Menuet、Ⅲ:Animé)
・マ・メール・ロア(Ma Mère l‘Oye(*))/M.ラヴェル
(Ⅰ:眠れる森の美女のパヴァーヌ、Ⅱ:親指小僧、Ⅲ:パゴダの女王のレドロネット、Ⅳ:美女と野獣の対話、Ⅴ:妖精の園)

(*)Ma=私の Mère=母 Oye=Oie=鵞鳥 英語だとMother Goose

アンコールは2曲でC.ドビッシーの前奏曲集から、
・ヒースの茂る荒れ地(第2巻NO.5)
・途絶えたセレナード(第1巻NO.9)
以上テデスコ以外は鍵盤作品からのトマシ・ムッソ・デュオのtranscription。
なお当日のプログラムにはバッハは「2」ではなく「3」となっていたが、彼等は2曲しか演奏しなかった。
終演後彼等にそれを質問してみると、3曲は我々の手に余るので云々、と煙に巻かれてしまった。
アンコールの曲目も直接聞いて、マルコの方が書いてくれた。
「途絶えたセレナード」は、ファリャの「三角帽子」からの引用と思われる奏句があり、聴いている時はファリャ作品かと思っていた。

全曲暗譜演奏だった!! 二人とも足台を使用。
トマシがファースト。
演奏の完成度が高い。音はピュアでいかなるポジションでもふくよかに鳴っていた。
指板上の左手の運動が美しい。

以上で彼等の演奏へ付け加える言葉がない。
暗譜だったことが鮮烈な印象で、コンサートのソリストでも時に楽譜使用は珍しくない。
辻井伸行のことが思い出されるが(千葉県少年少女オーケストラも)、譜面を出さないのはすごいことだ。

テデスコの第4番は、プレスティ&ラゴヤがレコーディングしている。帰ってから、それとデュオ・テデスコ(*2)で聴いてみたが、どうもトマシ・ムッソに軍配が上がるのではと思う。

(*2)プレスティ&ラゴヤ/PHILIPS YMCD-1001~3
    Duo Tedesco/KOCH 3-1224-2 Y7、1996

会場でダヴィデのCD(*3)が販売されていたので、Y氏へ贈ろうとの妻の提案で購入した。(Duoの方は昨年録音済みのようだが未発売)スペインのレーベルで、ホセ・トーマス国際ギターコンクール2017年第1位入賞により制作されたようだ。

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CDのジャケット。左に二人のサインをもらった。

(*3)「TO THE EDGE OF DREAM」(*4)
    Jsm Guitar Records JSM 6.011 2018
(*4)このタイトルは武満のギター協奏曲の作品名。アルバムのテーマである夢と沈黙、共に死の寓意を示唆しているとライナー・ノーツ冒頭にある。(*5)
(*5)ざっと目を通したが、ダヴィデ自身によるもののようだ。作品への深い理解、音楽全般への研究の程が窺える。

収録曲は、
・J.ケージ/Dream
・武満徹/エキノクス
     すべては薄明かりの中で
・B.ブリテン/ノクターナル
で時間はトータル42分11秒と短い。
非常に骨太で構築感のあるダイナミックな演奏が繰り広げられる。
またケージはピアノ作品の編曲で、偶然性の音楽でないので、ケージの作品としては保守的に聞こえる。
(了)

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