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2020年1月

2020年1月14日 (火)

「ウイーン・フィル・ニューイヤー・コンサート2020」

新しい年が明けた。今年は古希を迎えるという、自身にとって特別な年である。
60代前半は老境に入ったという自覚はありながらそれが実感できない中で過ぎていき、後半は徐々に肉体が衰えていったことを過ぎてみて振り返るとしみじみ思う。
特に昨年は60代最後の年であり、これまで以上に老いによる衰えを感じ、老いが動かしがたい現実として自分へ立ちはだかった年だった。
そんな心理状況で迎えた2020年のウイーン・フィル・ニューイヤー・コンサートは、これまでと違い何か冷めた感じで視聴したのだが・・・

今年の指揮はアンドリス・ネルソンスで1978年ラトヴィア生まれの若きマエストロだ。昨年のティーレマン同様、彼の指揮を見るのは今回のニューイヤー・コンサートが初めてである。
そしてこれも昨年同様に彼の指揮ぶりは精度が高く、若い世代の優秀さを彼からも認識させられた。
新年最初のNHK「らららクラシック」のポルカ特集(昨年7月の再放送)でカルロス・クライバーの「トリッチ・トラッチ・ポルカ」(何年のものかは不明)が流されたが、今回のネルソンス指揮のそれは同じウイーン・フィルでありながら演奏レベルの次元の違いを感じさせるものだった。
ネルソンスはベートーヴェン生誕250年の今年、ウイーン・フィルによる交響曲チクルスの指揮をするそうだ。
囲碁・将棋界においても柴野虎丸とか藤井聡太といった若い才能の台頭めざましく、彼等のような逸材が次代を築いて行くことに改めて思いを致すと、老兵は去りゆくのみという寂しさをはねのけて余りある未来への希望を感じさせてくれたニューイヤー・コンサートだった。

ラトヴィア生まれといえば昨年11月30日に76才で逝去したマリス・ヤンソンスがそうだ。ニューイヤー・コンサートは2006、2012、2016年の3回指揮している。(リンク→2016.1/102016.1/13

コンサートマスターはフォルクハルト・シュトイデ。次席はホセ・マリア・ブルーメンシャインで一昨年と同じ。(リンク→2018.1/9

第1部終了後ウイーン楽友協会前の特設スタジオで森田洋平アナが第1部中で今回初登場は4作品とコメント、最後のエドゥアルト・シュトラウス「ポルカ・シュネル「電撃」」op.132もそうだとのことで、昨年番外編で取り上げた2005年の第2部最後の曲がやはりエドゥアルトの「ポルカ「電撃」」。(リンク→2019.1/19
2つは同じではと思い、NHKのミスではないかと考えた。(^^;
がそれは杞憂で、聴き比べてみると違う作品だった。
2005年は原題「Electrisch,Polka schnell」で1895年3月初演、今年の方は「knall und Fall」で1876年に作曲された。それをどちらも「電撃」と訳しているので混乱してしまった次第。直訳すると、前者は「電気的」、後者は「強打と転倒」というところか?

NHKの番組ゲストは女優の草笛光子、中谷(なかたに)美紀、ウイーン・フィルメンバーのヴィルフリート和樹へーデンボルグ(第1Vn)、ダニエル・フロシャウアー(同、楽団長)そしてティロ・フェヒナー(Vla)。
ティロ・フェヒナーはなんと中谷美紀の夫だそうだ。結婚は1年前(正確には一昨年)とのことで昨年も中谷はゲスト出演していたがその際には結婚の話は出ていなかったと思う。

今年のメモリアルは先ずベートーヴェン生誕250年、ウイーン楽友協会竣工150年、そしてヨーゼフ・シュトラウス没後150年
和樹がベートーヴェンについて熱く語っていたのが印象的だった。

また「セセッション(分離派会館)」というクリムト周辺の画家の展覧会場として19¢末に建設された施設の紹介。地下の特別展示室の壁にはベートーヴェン没後75年を記念してクリムトが製作した全長34mの大作「ベートーヴェン・フリース」(1902)がある由。「第九」をテーマとしたベートーヴェンへのオマージュだそうだ。

来年の指揮者はリッカルド・ムーティ。一昨年から3年振り、通算6回目の指揮になるそうだ。

以下プログラムのメモを記す。
◯初登場
◎映像挿入
△バレエ映像

第1部
1.カール・ミヒャエル・ツィーラー : 喜歌劇「放浪者たち」序曲◯
1899年初演。
2.ヨーゼフ・シュトラウス : ワルツ「愛のあいさつ」op.56◯◎
今年はヨーゼフ没後150年。ヨーゼフ30才で娘が生れた際の作品。
ザルツブルグの美しい映像。同音楽祭は今年100周年を迎える。
3.ヨーゼフ・シュトラウス:リヒテンシュタイン行進曲op.36◯
4.ヨハン・シュトラウス : ポルカ「花祭り」op.111
ポルカはチェコ西部ボヘミア地方で1830年代に発祥した。2拍子の民族舞踊である。チェコ語の「プルカ」(半分の意)が語原で、半回転を繰り返すハーフステップであることから命名された。(「らららクラシック」より)
5.ヨハン・シュトラウス : ワルツ「レモンの花咲くところ」op.364 
2013(フランツ・ウェルザー=メスト)
6.エドゥアルト・シュトラウス : ポルカ・シュネル「電撃」op.132◯

第2部
7.フランツ・フォン・スッペ:喜歌劇「軽騎兵」序曲 2013(ウェルザー=メスト)
クラシック音楽を聴き始めた頃(中学3年)に買ったLPに入っていた曲。改めてこうして聴くとスッペの豊かな楽想がてんこ盛りされた贅沢な作品である。
8.ヨーゼフ・シュトラウス : ポルカ・フランセーズ「キューピッド」op.81
9.ヨハン・シュトラウス : ワルツ「抱き合え、もろびとよ!」op.443△
バレエ映像:オイゲン公の冬の宮殿(ウイーン)。ウイーン国立バレエ団。
この作品に引用されているシラーの詩はベートーヴェンの「第九」第4楽章と同じモので、メモリアルイヤーでの選曲。
10.エドゥアルト・シュトラウス : ポルカ・マズルカ「氷の花」op.55
ウォルフガング・デルナー:編曲
11.ヨーゼフ・ヘルメスベルガー : ガヴォット
ウイーン風の優雅なガヴォット。ヘルメスベルガーはウイーンフィルのコンサートマスター、指揮者を務めた人物。
12.ハンス・クリスティアン・ロンビ : 郵便馬車のギャロップop.16―2
ウォルフガング・デルナー:編曲
ネルソンス、袖からトランペットを持ってくる。ロンビ(Lumbye)はデンマーク人。北のヨハン・シュトラウスと呼ばれる。
13.ベートーヴェン : 12のコントルダンスから(NO.1、2、3、7、10、8)WoO14◯ △
バレエ映像:ベートーヴェン縁の地ハイリゲンシュタット。ウイーン国立バレエ団。
ニューイヤー・コンサートでベートーヴェンが演奏されるのは今回初。
ハイリゲンシュタットは1802年に書かれた遺書で有名。当時はウイーン郊外だったが現在はウイーン第19区に編入されている由。(平野昭「ベートーヴェン(カラー版作曲家の生涯)」)
コントルダンス(=カントリーダンス)は17,18¢に流行した男女が対面して踊る素朴な舞曲だが、ベートーヴェンは華麗な管弦楽曲へ仕立てている。NO.7の旋律は「エロイカ」第4楽章の第3変奏に出て来る第2主題だ。
14.ヨハン・シュトラウス : ワルツ「人生を楽しめ」op.340◎
ウイーン楽友協会の映像。アルヒーフ(資料室)、ブラームス・ザール(小ホール)、石のホール(リハーサル室のようなホール)、ガラスのホール、アトリエ(楽器工房)など。
15.ヨハン・シュトラウス : トリッチ・トラッチ・ポルカop.214
喜劇「トリッチ・トラッチ」初演25周年を記念して作曲された。
クライバーより速くて正確。ウイーンフィルの演奏レベルも高い。
16.ヨーゼフ・シュトラウス : ワルツ「ディナミーデン」op.173
ヨーゼフは工学技士として活躍していて、工業舞踏会のために作曲された。
ディナミーデン(Dynamiden)とは分子、原子の引力を指している。
本プロ終了後、拍手に包まれる客席にルドルフ・ブフビンダー(ウイーン、ピアニスト)?と思われる人物が。

アンコール
1.ヨーゼフ・シュトラウス:ポルカ・シュネル「飛ぶように急いで」op.230
2.ヨハン・シュトラウス:ワルツ「美しく青きドナウ」op.314◎
恒例の新年の挨拶。
(参考)2015年ニューイヤー「美しく青きドナウ」を参照(リンク→2015.1/12
3.ヨハン・シュトラウス(父):「ラデツキー行進曲」op.228
ウイーンフィルによる新たな編曲版
(了)

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