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2020年4月26日 (日)

「クラシックの迷宮」

久し振りに「クラシックの迷宮」を聴いた(4月25日(土)21:00~、NHKFM)。新聞の番組表に「1964年のN響演奏会」とあり、「三善晃の世界初演ほか」とあったので興味を持った。
先ず演奏曲目を示すと、

1. 入野義朗「交響曲第2番」(指揮)若杉弘、NHK交響楽団、1964年10月15日 東京文化会館
2. 三善晃「管弦楽のための協奏曲」(指揮)外山雄三、NHK交響楽団、1964年11月2日放送
3. 武満徹「テクスチュアズ」(指揮)岩城宏之、NHK交響楽団、1964年10月19日 東京文化会館
4. 武満徹「弦楽のためのレクイエム」(指揮)パーヴォ・ヤルヴィ、NHK交響楽団 2017年2月22日 横浜みなとみらいホール

MCの片山杜秀のコメントを記すと、1は若杉がまだ20代で、当時はN響の指揮研究員だったそうだ。この演奏は多分初演と思われる。
2は1933年生まれの三善は当時31才、ピアノ協奏曲の延長上の作品と位置付けられる。初演は10月23日、東京文化会館、やはり外山の指揮だった。今回使用したのは放送のためのスタジオ録音だった。
3は正真正銘の初演!! クセナキス、リゲティ、ペンデレツキ等のトーン・クラスターの技法が十分咀嚼されて使われており、中間部にメロディアスな唄が入る。
そして4は時間に余裕があったので特別付録で、2017年のパーヴォ・ヤルヴィ、N響による演奏。片山は、パーヴォは武満をペルト(パーヴォ同様エストニア出身の作曲家)みたいに演奏する、と言っていた。ペルトは1,2度オケで聴いた記憶があるが、よく知らないので片山の言っていることは分からない(*)。

(*)福田進一のギター協奏曲のCDに「フラトレス」というペルトの作品が入っている。特異な名前なので記憶している。(DENON、COGQ-25)

今回使用された1~3は大変貴重な音源である。
4は最近リリースされたCD「武満徹:管弦楽曲集」に収められている。

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朝日新聞夕刊(2020年3月19日)の月例推奨盤のコラム。武満のCD収録の5作品はすべてライブで、「レクイエム」以外はN響定期(1841、1881回)のもの。片山も選者の一人だが、武満のCDの推薦文の筆者は諸石幸生。

放送が終ってみればエア・チェックしなかったのが惜しい気持ちだ。
どれも力作で聴き応えがあった。N響も力演で、また楽章の合間などでは客席の聴衆の気息を整える様子とかが録音から窺うことも出来て、ライブだった1,3は迫力があった。
3のピアノは高橋悠治である。ピアノパートは打楽器的な書法で書かれている。また「アステリズム」を思わず連想してしまうセミロングではあるがクレシェンドも出て来る。

私が最も印象深かったのは最後の「弦楽のためのレクイエム」だ。宇宙的というか、雄大なスケール感、ダイナミックな演奏である。またテンポはゆったり目で、悠久感をも覚えて、音群が胸に浸み込んでくるようだ。
「武満徹全集」の岩城宏之、オーケストラ・アンサンブル金沢の演奏とは別物のように聞こえる。全集版は神秘的、宇宙の暗黒空間を漂うような幽玄な演奏で、こちらも名演である。

新型コロナウィルスの世界的流行(パンデミック)が収まる気配を見せない。人的接触を避けることが欠かせないため、イヴェント開催中止が相継いでいる。N響も4,5月の定期公演の中止を決めている。
19(日)のEテレ「クラシック音楽館」はオーケストラ、独奏者等の窮状を伝え、団体の存続が危機的状況にある現状を強く認識させてくれた。
一日も早い感染流行の終息を祈るばかりである。

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